海晴

『二人はライバル』
年が一つ違う、
ということは──
お姉ちゃんなんだからしっかりしないと、
妹なんだから──ちゃんと言うことを聞かないと!
先を行くものが手本を見せ、その背中に追いつこうと育つ
関係でありながら。
実はそんなに成長の差も経験の差も大きくなくて
すぐ追いつかれ、追い越され、どっこい油断ひとつで追い抜かれて
どっちが上だとあんまりはっきり感じる場面もないのかもしれない。
だから霙ちゃんと私は
学校の成績も
背の伸びる早さも
お互いを意識する。
すぐ育ちたくて
おかわり競争もした、
おやつの取り合いっこも
よくジャンケンになったっけ。
とすると、私がしっかりしすぎたせいで
霙ちゃんはなかなか面白い趣味に傾倒することになったと──
あんまり関係ないかな?
小さい頃から視点が独特で、
難しいことを考えているような全然そうでもないような霙ちゃん。
今度は元気に遊ぶ子供たちを
なんというか──
魔のトワライトゾーンと言っていいのか
入り込んだら逃げられない魔境へと誘い込むのがブームみたい。
一瞬浮かんだ考えは──
まあ霙ちゃんなりに心配をして、
寒さに耐えてがんばるみんなをねぎらってあげたい気持ちも
あるのでは?
明らかに遊び相手を増やしたがる暇をもてあました面倒くさい状態、
そんな姿が目に見えていても
私たちも知っている通り、実は優しい霙ちゃん。
もしかしたら思いやりから出た行動だと考えても不自然ではない、
ううん、もちろんありえることだ!
いつまでもわけのわからない子だと思っていたらいつの間にか立派になって──
と、ちょっと自分をごまかそうとしてみたものの
やっぱりだらけた空気が広がっていくのは困ったもの出しなあ。
私もこたつが嫌いではないのよ。
むしろ、大好き!
だからこそ、めりはりをつけて自己管理をしながら使うようにしないといけないわけで
そこを一度霙ちゃんにも確かめておきたいんだけど
もうこたつの周りは暖かくておやつもいっぱいで
外の寒さから帰ってくると、今日こそ言うぞと固く決意をしていたものが
すっかり柔らかく溶け出してしまう。
このまま今年の冬の第一ラウンドは
霙ちゃんの優勢で進んでしまい──
冬はもう、だらけることを知った物たちが支配する白い世界になっていくのね。
なにか、あんまり問題もないような気もだんだんしてきて──
今回は私が追い越されて
もう追いつけないところまで引き離されてしまい、
今はそんなことはどうでもいいことで
あれ──どうしてこたつから出ないといけないんだっけ?
これではいけないって気持ちが
さっきまでどこかに残っていたような気が──したんだけど、気のせいだったかな?