小雨

『プリティリトル』
今年の小雨の家族は
冬の寒さが増すこのごろ、
まだなんとか風邪も引かずにいます。
冷たく乾燥した北風が襲い
遊んでいたら汗をかいて半袖になるみんなが
いつおそろしい風邪になってしまっても
不思議ではない毎日。
家の中でしていることといえば
玄関から洗面所まで行進する
うがい手洗いの歌が始まったり
百まで数えてお風呂から飛び出した子供を
服を着るまで追いかける努力と
あとは寒く凍える冬の夜空の下で
天体観測をする霙お姉ちゃんのところへ
暖かい飲み物を持っていてあげるついでに
きれいな星空の話も聞こうと
時間差でポットを持って
優しい子たちが続々と押し寄せるくらいで──
そしてもちろん
いちばんだいじな力がつくメニューを
毎日考えてくれている春風お姉ちゃんと蛍お姉ちゃんのがんばり、
なるべく残さないで食べようとする良い子のみんなが
いるからなので
冬は温室で育った花がどれもきれいだからと
家の中に飾りたくて
おこづかいを使い切ってしまいそうな小雨は
みんなの健康を助けることに
特に役に立っていない自信があります……
シクラメンゼラニウム
ポインセチアもいいしかわいいヤドリギ
すてきなクリスマスリース
うつむきがちな灰色の冬空の下で
みんなの心を慰めるすばらしいもの。
どんなときもすぐ隣にいて明るい姿を見せてくれる
この季節の一番の友達だって──
つい招待しすぎてしまいます。
だから今日、みんなが健康でいるのは
一人ひとりの小さな努力の積み重ね──
それだけが助けなの。
大磯のおじ様の頼みごとにみんなで駆けつけて
お手伝いができるのは
誰も風邪を引かないで元気でいたおかげ。
小雨は何にもしていなかったけど
でもなんだかうれしいのです。
街の人たちが準備を続けてきた
クリスマスバザーの企画が
風邪になる人の多さで開催が危ぶまれると聞いたら
必要なのは体の丈夫な元気な子たちと
明るい売り子の声。
急な話になりましたが
天使家が迎える今度の週末は
海の見える街で過ごす予定です。
もちろんバザーのお仕事自体は
街の人たちの助け合いで報酬なんて出ないけれど
おじ様からの気持ちをみんなの分に
約束してくれているとの話もあって──
うれしい臨時収入の予感に
張り切っている子は多いの。
おじ様のホテルの温泉やスパもありがたいし
みんなの気持ちはすでに遠くの町へ向かっているようです。
こうして準備も急いでいると
小雨はきっと何か忘れ物をしてしまいそうで不安だけど
みんながいるから大丈夫。
向こうに行ってあわてることがないようにと
万全の準備をしておくことは
ひっくりかえってもできないとわかっています。
今は体を健康でフレッシュなまま
ご希望通りお届けすることが一番だって
今日も望遠鏡を抱えて出て行く霙お姉ちゃんが言うから──
小雨は元気をくれるお姉ちゃんにお礼の気持ちを込めて
あとで暖かいものを届けたいと思います。
年の瀬も近づいて
毎日大変な日が続くけど
がんばりやの家族みんなが体を壊さないように──
助け合っていられたらいいですよね。
いつも迷惑をかけっぱなしの小雨には
それも遠い目標になってしまいますが
まずは小さくても元気な体で
もっと小さなみんなと力を合わせて
できるお手伝いをはじめるところからスタートです。