立夏

『ちゃおちゃお』
そわそわ
そわそわそわ
あれっ!
リッカがそわそわしているところを
オニーチャンがみてる!
なんだかまるで
子猫を拾ってきたことを
言い出せないみたいにしているところを、
それとも
貴重な秋晴れの一日、
洗濯物を干すときに
おねーちゃんの小さなパンツを手が滑って落とし、
風にさらわれていったのを黙っているところ、
とにかくなにか秘密を抱えて
言い出せない珍しいリッカを
見られてしまったようなかんじになった!
えへへ。
別に黙っていることでもないんだけど
でも、予想していたより
意見が分かれているでしょう?
三連休が台風で
とにかくみんなが無事で何事もなくいられたら
それが一番なのは
子供たちだってわかっていることだけど
でもやっぱり
せっかくのお休みなのにって気持ちもしかたがない。
そこで海晴おねーちゃんは
よい子にしていたら
また次のお休みかどこかで
みんな旅行に行けるよう
ママに頼んでみましょうって言ってくれたこと!
吹雪ちゃんから台風の話を聞かされた小さい子たちは
地球儀を全力で回してもまだ追いつかない
自転速度は赤道上時速約1700キロ、
今度のものすごい台風だって生み出すエネルギーをもつ
あの南の太平洋上に一度行ってみたいなーって
軽い調子でおねだりしているし
そんな知的好奇心のかたまりの吹雪ちゃん本人はといえば
雲の動きや地球の青さを自分の目で見る
衛星軌道上に興味があるって。
家族みんながなかよしのリッカたちは
いったいどこへ行くことになってしまうんだろう?
立夏は無難に
芸術とみなぎる活力とおしゃれの聖地ミラノ!
というのは冗談で
そろそろ冬用の服を見にみんなとデパートに行きたいな。
本当は秘密にしようとしていることは
やがてリッカが大きくなったときに
やさしくてよく気がつく海晴おねーちゃんみたいになれたらいいね、
ってこと!
でもリッカは気が利かないからそんなふうにできないかもしれないし
生まれ変わったときになれたらいいな!
くらいにしておくかなあ。
それを言ったら生まれ変わっても
海晴おねーちゃんの妹に生まれて
いっぱい甘えられたらいいと思わない?
そうだ、それが一番いい!
いいな!
もちろんオニーチャンの妹にも生まれなくっちゃネ。
これからもずっと
よろしくね。
チャオ!