海晴

『秋の楽しみ』
どこまでも高くまぶしい秋の空に
手が届くようにぐっと背伸び、
ううーん……
やっぱりさわやかな季節。
秋はいいわね!
たまにはこうして
汗をかくまでみんなとわけなく走り回ったって
力はたっぷり余っている。
日陰に腰を下ろすのはまだ少し後でいいの。
砂を蹴り上げて走りぬき、
運動靴の限界を試すように
遠くまで声を届かせて走る。
こだまよりも早く
飛び掛ってくる子供たちが
動きやすい季節の楽しさを正直に伝えている。
それにこのごろは
暑さの残らない夜も続き
学問に励む年頃の乙女として
読書の秋もたしなんでいた日々だったの。
固まりかけた筋肉に
やさしい陽射しが染み込むようで──
悩んだことも忘れてしまいそう。
えっ?
こんないい季節に
悩みなんてあるのかって?
そう──
運動日和ということは
今まさにここであそこで
日本中が楽しい運動会の準備をしているということ。
子供たちは一生懸命その日のために
校庭を踏みしめ、
少年少女の晴れ舞台を目に焼き付けようと
お父さんやお母さんは休日の予定を確保し、
お弁当作りにも大忙し。
それなのに
週末の予報の傘マークに
お天気お姉さんは何も出来ない……
雨の休日もまもなくで、
私はどんな顔で
明日の朝にお天気を伝えればいいのだろう?
気軽に運動会がんばってくださいねとも言えないし
このままでは
てるてる坊主を増やしていくしかできることが──
ああ!
なんだか今日の夜長にする予定が
もう決まってしまったような気がする!
ところでキミは
日本中の秋を楽しむ人たちへ
さわやかな秋晴れをお送りするお仕事に
興味はないかしら?
せめて楽しい夢の中でいいお天気を期待しながら
週末を迎えてもらえるように
祈りの形はひとつでも多いほうがいいような気が
なんとなくしてくるんだから!