『おみず』
ぽかぽか暖かく、気持ちよく過ごせる一日が
きのうまで続いて。
ただ晴れているだけでいい日になりそうなのは
お布団と洗濯物におひさまを当てたい
家事担当が日々育む主婦魂が原因なのか
はたして中学生のぴっちぴちの若さは
ここにこそ全力を注いでいいものなのかどうか?
あ、ぴっちぴちであれこれっていうのは海晴お姉ちゃんのお話。
だけど20人きょうだいのお母さん役を引き受けたいとなると
もうもりもり力いっぱいでないと
みんなのお手伝いに助けてもらったり
むしろ蛍は春風ちゃんをお助けするちび妹でしかないときも
たまにあり……
それに、どうせ好きなことをやるなら
全力がいちばんいいと思うから。
だから晴れた日は何も迷わなくていい。
お洗濯びより!
気持ちいいねー!
おうちの中で会う人会う人に
氷柱ちゃんにもやっぱり言ってみるから
お勉強や図書館に行く用事で手伝えない日はすまなそうな顔をさせてしまったり
あーちゃんも話がわからなくても
うれしそうに答えてくれるから
ぱぁい!
そうだね!
会話は……
わりと成り立っていると思います!
ちっちゃい赤ちゃんでも。
あーいそがしいって
蛍が洗濯籠を抱えて歩いていると
ハーメルンの笛吹きみたいに子供たちがついてくる。
あれ?
蛍がこのままお買い物にでも出かけたら
家の中からだれも子供がいなくなっちゃうよ?
いたずらみたいなことを考えています。
まあ、いなくならないんだけど。
帰ってきます。
ホタもみんなも。
まあ、密かにたくらんでいるそんないたずらはいいの。
なぜ蛍は今この場で白状してしまったのか?
思いついただけで別にやらないから?
ともかく家族がほぼ総出で協力しあうのが日曜日のお洗濯。
ころばないでね!
かごをぶっちゃけないように!
気をつけたり、歌いながら進めるお手伝いの時間です。
ここは蛍がみんなの中心。
お手伝いが好きな良い子はいらっしゃい!
このゆび!
とまれです!
あのね。
お兄ちゃん。
このところ晴れてよかったよね。
小春日和って
このことです。
いい休日。
だから天気予報で晴れるって聞いたときに
よーし
今日もぽっかぽかだぞ!
あさがた、まだ日がのぼってもいないのに
その気になって
あったかくて汗を書いて運動するのが楽しいときには
水分をとるのもだいじ。
お水の需要が高まる気候ではないでしょうか?
またこないだみたいにみんなの飲み物が順番待ちになったらいけないな、
よしよし!
ひとりでほくそえんで
きっと役に立つって確信して
目玉焼きのフライパンの横でちまちまこまめにジューサーを稼動させつつ
時間をかけて大量に作った野菜ジュース。
あの……
きょう、涼しい風が吹いていたから……
あまってしまいましたね。
ほとんどなくならないままなの。
すぐ飲んじゃったほうがいいのに……
こんなふうに、深まる秋を感じて
寒いときにはおるものを探しては
誰かに着せてあげるついでにぴたっとくっついて
暖めてあげるふりをしつつ
蛍も暖をとる。
うーんあったかーい
たいていそう言ってしまって
ちょっとちょっとー
あったまりたがっているのは蛍じゃん!
よくばれてしまう
そんな少し寒い風の日もいいですよね。
あまったジュースは
どうしよう。
何かのお料理に再利用できないかな?
お肉の隠し味とか。
うーん、あんまり試したことないし、困ったな。
やってやれないことはない?
蛍が困ったときは
いつも必ず側にいてくれて
力になってくれるお兄ちゃんでも
お夕飯のカレーを山盛り食べてもらって
日曜日の夜のしめくくりを幸せいっぱいになってもらえたらよかった、
蛍も大満足した後で
とつぜん思い出して
どうしよう、野菜ジュース……
なんて相談しても
ちらっ。
いや、そこまでお願いするわけには。
いやいやいや
蛍だって一人でやれます!
それはもちろん、お兄ちゃんといられたら蛍は喜ぶけど
この20人分を用意した野菜ジュースを
すべて飲み干してもらうなんて
にんげんわざではないですもの!
今夜は春風ちゃんとも利用法や試作品のアイデアを出し合いつつ
ついでにお兄ちゃんにおねがい……
たまに味見をしてもらえたらな。
せっかく秋の涼しい夜長をくつろいでいるところだったら
ちょっとお邪魔な蛍かもしれないけれど……
今後、お兄ちゃんにおいしく食べてもらえそうなお料理となると
イデアが湧いてきそうな気もするんです!
栄養たっぷり水分をとりやすい
野菜の隠し味の
新しい活用法。
開発をちょっとだけ手伝ってもらっても
どうでしょう……
ご迷惑ではないですか?
お兄ちゃんの元気を応援できるかもしれないと思うと
蛍はまた今夜
疲れる気配もなく
きっとまた海晴お姉ちゃんが感心してしまうほど
はりきってしまうかもしれないんです!