夕凪

『鳴りひびくのは風を切るおと』
小さい子供はみんな
音が出るおもちゃと
投げて遊ぶおもちゃが大好き。
夕凪はもう
おうちのお手伝いはだいたいなんでもできるし
ちっとも小さい子供ではなく──
だからって子供の気持ちを忘れたわけではない。
だって誰でも必ず
不思議に思うでしょう?
空中に飛ばしたボールが
思わぬ軌道を辿ってどこかへ消えるとか
短い棒の取れそうにないわっかが
じゃまものだらけの隙間もない場所を抜けて外れていたり
壁にくっつくおもちゃが
どうやってこんなにうまく貼り付くのか、とか──
気にならないわけがない!
氷柱お姉ちゃんやヒカルお姉ちゃんや
夕凪の不思議にはいつも決まって
別にって顔をするけど
たぶん強がっているだけだよ!
ヒカルお姉ちゃんは理屈を聞いてもよくわからないからと言うし
もっと不思議なことが世の中にはいっぱいあるって
あきれたような氷柱お姉ちゃん。
だってだって目の前にあってさわって投げられるものだよ!
謎を解かないといけないじゃん。
手品の種がわかるまで
おもちゃの順番はお行儀よく
続く続く、また続く。
いちばん最初に隠された秘密を見つけたかしこい子だけが
誰より上手におもちゃを壁に貼り付けられる!
吹雪ちゃんもそう言うんだから間違いない。
おすみつき!
でもなぜか──
難しいことなんてぜんぜん知らないって見ていたヒカルお姉ちゃんが
ほんのちょっと試しただけで
うまくボールを飛ばすし
うまくわっかを外すし
おもちゃを壁にくっつけて落ちない時間の記録を作ってしまう。
どういうわけ!?
大人だとそうなの?
おもちゃが導いたまだ誰にも解かれない
究極の難問。
お兄ちゃんはどのくらいうまくできそう?
順番待ちをするなら
ユキちゃんの次くらいね!