『細かいことは気にしない』
よく晴れていても
吹く風は冷たく骨まで凍えるようで
今日もこたつが
盛況みたいだわ。
次々と人がやってきては
席を詰めて場所を空けてと
おしあいへしあいで大変。
あれではもしも
こたつに置いてきた何かを
誰にも見られずこっそり取りに行こうと考えたとしても
無理な話ね。
ちなみに、私がこうしてパジャマでうろうろしている理由は
こたつの話題とはまったく関係がないわ。
あまり追求しなくていいから。
姉さまたちもあまりみんなが
こたつにこもるのは良くないと思うみたいだけど
お掃除をしている部屋の窓を開け放し、
荷物を持ちながら寒い廊下を行ったり来たり──
あまつさえ屋外の物置まで足を伸ばし
よく晴れているからついでに見つけたなわとびなどで
小さな妹たちと遊ぼうということになると
こたつの暖かさが一息つける場所として大事なの。
昔から子供をしつけるお話で
食べてすぐ寝ると牛になるとは言うけど
こたつに入ってばかりで何かに変わるというのは
ないものね。
それにしても年末になると
いつも気付くのは
普段何気なく過ごしている家の中に
どれだけ掃除をする場所があるのかということ。
物置に荷物を並べる広さがたくさんあって
掃除だけは時間がかかるというのに
運び込んでみるとたいして物が置けないということ──
このへんはコツを飲み込むまでが大変なのよね。
散らかった部屋で遅々として進まない作業に
せっかく晴れている空を見上げてみるの。
このまま旅にでも出ていけたらいいのに──
気まぐれな旅の計画を立てる鉄道ダイヤの知識と同じくらいに
みんなを丸め込める説得の力があったならよかったの。
まあ、姉さまたちも子供たちをこたつから追い払えないんだから
話術なんて結局そんなものね。
とにかく大掃除は進み、
気持ちよく新年を迎える支度は
確実に進んでいるわ。
労働は人を裏切らない。
真摯に働いた分だけ私たちは望む未来へ進んでいく。
きれいに片付いたお正月まであとわずか。
といってもパジャマでは説得力がないから
大掃除の続きは着替えてきてからね。
こたつが私とわずかな人間だけのものだなんて
短いわずかな幻想に過ぎなかったのよ──
こたつで寝ると風邪を引くということも忘れ
私は眠くなっても
望む場所を守るべきだったのかもしれない。
でもそれもだらだらしているようにしか見えないのが悲しいところだわ。