ヒカル

『年末の風物詩』
今日も寒いのに
家族のみんなはとっても元気だ。
今年最後になる
大変な掃除に手を付ける子も増えてきて
部屋と物置を往復する姿も頼もしい。
家の中で集まって
クリスマスお楽しみ会の準備や
出し物の練習をする子もいるし
そんなみんなに
寒い冬に負けないようおいしいものを作ろうって
はりきっている台所チーム──
気が付くと、毎年
この場所を担当する顔ぶれが増えている──
不器用な私も呼ばれるくらいだから
いくら人手があっても足りないのかもしれないな。
クリスマスには手の込んだ料理を用意するって
はしゃいでる声が聞こえてきて──
大変なことも楽しいこともいっぱいに押し寄せてくる
いつものこの時期の眺めなのに──
ああ、なんてことだ。
根が生えたようになるというやつだ──
私が一度こたつに入ってしまったら
出られなくなってしまうタイプだなんて!
片付けも毎年のことで
氷柱の指揮する声も冬の空に良く届く。
みんな手際が良くなってきているから
今年は手伝いに駆り出されることが少なくなった。
すっかりその気で
部活の助っ人を減らしていたら
ついにこんな感じだ。
用事があるまで部屋で待機の
力仕事担当のお父さん。
友達の話を聞いていると──
どの家にも、そんなお父さんはいるみたい。
みかんの皮を積み上げ
子供と遊びながら
うとうと──
慌ただしい家の中に
ぽつんと忘れられたような時間。
短い間だけの貴重な時間だとわかっているけど
ああ、早く何か用事で呼ばれないかな。
あったかくて──
このままでは、ずっと
眠っていられる──
夢の中で過ごす年末を過ごすのはなんだかもったいないんだ。