星花

『どっちつかず』
この冬になって初めての雪の日。
あたりは白く、だけど厚い雲の下では積もることもなく
学校が休校になることもない。
肩に積もる真っ白くて冷たく
たちまち水に変わって重くなる雪に
わりとテンションはあがるけど
かといってはしゃいでしまうというと
足場が悪くなるくらいで
そんなに遊べることもなく。
楽しいような
めんどうくさいだけのような
冬の始まりの合図かもしれないし
たまたまの
変わったお天気というだけかもしれない。
厳しい寒さか、それほどでもないかとなれば
それはもう寒さに手がかじかむ
この冬いちばんは間違いないけど
そうしたら意外と
はっきりした寒さだと決まるとそのあと
用事もなく外に出てみて
意味も理由もないのにとにかく雨まじりの雪を
触ってみたくて仕方がない子と
そんなことするなんて信じられないって
家の中にこもって
みかんをむいて過ごす子に
白黒くっきり分かれるということが
今日はじめてわかったのです!
そういえば
積もったらみんなちょっと興味を出して見に来るもんね。
ちょっと寒いと別に外に出ないし。
あ、海晴お姉ちゃんは寒いときの雲の動きとか眺めるのが好きみたい。
足踏みしながら
その横にはちょこんと吹雪ちゃんが立って
何をしているのってたずねるみたいに
不思議そうに見上げていたりして。
部屋のほうからそれを見ている星花たちだったりして。
暖かい家の中に入ればいいのに、なんて話しながら。
たまにつられて雲を見上げて
面白いのかどうなのかよくわからなかったりしながら。
そういう特別な興味がなければ
お外には興味がないはずの
ただの寒いだけの日になるかもしれなかったのに
まさか
寒すぎると、それはそれでなんだかじっとしていられない気持ちもあるなんて!
星花もそういうの
わからないこともない気がするけど
でも元気に遊ぶのは
夕凪ちゃんがいるからいいかあ、ということにして
家の中で大人しくしているほうに
今日は参加することにします。
うーん
もうちょっと降ったらそれで
いてもたってもいられなくなる派でもあるかなあ?
それくらいの雪が
今年も降ったらいいような
でもすっごく寒くなるってことだし……
どっちを願っているのか
まだ決まりきらない感じです。
うーん
でも、寒くて動きたくなくても
年末のお掃除と
お正月にはにぎわう大きな神社まで歩くのは
やっぱりみんなとできたらいいな。
まだ──だいぶ先のこと?
それとももう目の前?
元気があるのか
エネルギーをチャージしているかんじなのか
はっきりしない今日の星花は
確かなことがひとつ
お兄ちゃんの隣にいて
そのそばにちょこちょこついていっていること。
こんなお話を聞いてもらえたら
うれしいみたい。
お兄ちゃん
こたつに興味はありませんか?
今ちょっとぬくぬくしたい気持ちなんです。