真璃

『旅立ち』
暖かな布団で
すやすや寝息を立てる
かわいらしい子供たち。
眠る前にもらった
新品のパジャマ。
あんなに喜んでいたパジャマで
布団に入ったら──
穏やかで幸せそうで
見ているだけで心が和む
子供たちの顔。
えっ、マリーはまだ
和ませるほうですって?
そう──でもね
和んでいけないことはないと思う。
マリーは自分の心には素直だから
かわいいものを見つけたら
めでる……
言うだけなら簡単だけど
相手を思う気持ちの積み重ねが大事
後悔しないようにかわいがるために
毎日──
自分をごまかさないでいようと思うの。
かわいいのはいいんだけど
いつまでも寝顔を見ているわけにはいかないと
みんなの布団をめくっては放り投げ
乙女たちを寒い朝に放り込むのが
日々つらくなる季節。
せめてマリーは
北風に立ち向かう家族たちのために
知っている限りのあったかおしゃれをレクチャーして
一人前のりっぱな冬の妖精にして送り出すのが役目よ!
さあみんな、
マリーが寒さにも動じない
その秘密を知りたい子は
離れがたいお布団の中から──
勢いよくカーテンを開けて飛び込んできた
まぶしい窓の景色から──
冬服の詰まったタンスの前に
あつまれ!
ここにあるのはコーディネートの楽園。
いちばんあったかになるのも
女の子っぽい着こなしも
冬のマフラーの巻き方なら
マリーが知らないものはない。
手袋と毛皮の帽子の組み合わせだって
見てあげられるし
いちばんお気に入りのアウターを
あなた色で着こなすチャンスが
朝の日差しで白く染まるまだ冷たい部屋に
ついにやって来たのだと
マリーが教えてあげられるの。
幼稚園の時間に間に合わないとき
少し怒られてしまっても
実は怖くなくて
ぜんぜんへっちゃらだということも
こっそり──お姉ちゃまたちにばれないように伝えなくちゃ。