海晴

『願望』
にゃんにゃん
にゃーん。
いや、やっぱり
ぺんぺん
ぺーん。
こっちかな。
子供の頃には
ママにおねだりばっかりで
夏が降りてくるような白いワンピース、
あったかマフラーも
自分で作れるなんて
なかなか気がつかなかった子も
今では長女になり──
妹たちの指先から生み出される
かわいいパジャマを見ては
おどろいて
きっといいお母さんになる!
ほめることしか
できなかったり──
あるいは、子供たちがこういうのも着たいと
お絵かき帳に描いている
才能あふれるデザインに
おどろきまくって
これは将来きっと
一流ブランドのすごいデザイナーに
なれるかどうかは
これからの努力次第でなんとかなるかもしれないし
現時点ではとりあえず
アバンギャルドな才能を爆発させる画家に
向いていると思う!
なんて
励まして……ほめてあげたりしている
特に役に立つお仕事ができないお姉ちゃん。
ああ、だめね──
せめて毎日顔を合わせたら
さわやかに大きな声で
はずかしがらないで!
元気に挨拶をすることくらいしか
妹たちに教えてあげられないなんて。
あとは、そうだな
一緒にパジャマのデザインを考えてあげるくらいかな。
もちろん自分で着たりなんてことはできないけどね。
かわいい動物たちになりきるには
もう──
ほんのちょっぴりだけ
大きくなりすぎたから。
あー残念!
去年くらいにこの動物ブームがあったなら
参加したんだけどな。
うんうん。
だからキミもヒカルちゃんも
遠慮なくペンギンにもカメにもウサギにも
ハートの女王や白のナイト、
なりたいものになれるよ。
お姉ちゃんが許すからいいの。
私は──
みんなの流行の輪に混ぜてもらって
たまに童心に帰ったりしつつも
ある瞬間にふと心にかげる雲……
ママの耳に新たなブームの兆しが届いて
張り切ったりしないか
それだけを心配しつつ
みんなのかわいいなりきりを見て癒されたり
おそろしい考えを忘れたりしていきたいと思います。