小雨

『雪解け』
ほろほろと雪は溶けて
屋根から滴る暖かい歌と
すっかり春のように広がるぬかるみ。
気温が高かったみたいで
昨日あんなに積もって見えた雪は
とりあえず人の通るあたりだと
すっかりなくなっていました。
道の端っこに積まれている雪の山が
それらしい跡を留めているだけ。
真っ白になってはしゃぐ小さい子たちを
こっちまで楽しい気持ちになって眺めていたり
それでいて、寒さで調子が悪くならないかと
心配をしたりで
小雨は笑っているのか困っているのか
きっとなんともいえない顔をしていたと思います。
お兄ちゃんも見た?
それともただ
一面世界が変わってしまったように
広がる雪に心細くなって
怯えている小さい子供に見えたかもしれません。
そういうところも少しあったから……
怖がりを隠すのが苦手な
不器用な小雨。
少し暖かくなって雪が解けたら
こんなにほっとしているんだもの!
大変な雪でしたが
小雨の家族に何事もなくてよかった。
たぶん一番の泣き虫が
あんまりたくさん恥ずかしい顔をしなくていられました。
このまま寒さが続くとおうちの中にいることが多くなるかなって
図書館でみんなと読む本を探してきたりしたけれど
あんまり必要がなかったみたい。
お兄ちゃんも読む?
なぜか雪の景色を綴った本は
動物のお話がたくさん見つかった気がしますけど……
はしゃいだり手袋のおつかいをしたり
雪の日を楽しむのは
自然に生きる動物たちのほうが得意なのかな。
うーん、でも小雨の小さい妹たちも
ちっとも負けていませんでした!
この冬もまだ雪が降るかもしれないけど
そのたびに小雨は恐ろしさに負けそうな顔をしながら
みんなに元気をもらってぎりぎりでなんとかするのだと思います。
寒さに負けない元気で明るい小雨がもしも遠い夢なら
そんな夢に気持ちだけちょっと近づける気がするみんなとの時間は
たくさん重ねていきたいの。
寒い日と暖かい日の先に
本当にほっとする春が来るまで
まだ長くお兄ちゃんのお世話になります。
もしよければ気長に見守ってもらえますか。
お願いばっかりで返せるものは何もないけど
いいでしょうか。
どうか寒い日もどんなときも、
これからもまたよろしくお願いします。