小雨

『ハローハロー』
聞こえてくるのは
冷たい北風のうなる音?
子供たちがまもなく迎える
桃の節句
準備の歌声?
今日も聞こえてくる、
日に日に春の近づく足音、
ゆっくり傾く日差しの
名残の時間のぬくもり──
小雨がみょうに
うきうきしているのは
寒さを恐れて逃げ込んだこたつの
出ていくきっかけを探しているからかもしれないし、
春に向けて新しい服を作るからって
測ってもらった身長の
麗ちゃんとほとんど変わらなかったことの
面白くて顔を見合わせた出来事のおかげかもしれないし──
麗ちゃんももう大きくなって
小雨を追い抜いていくまで秒読みといったところ。
服が交換できる
二人の体格だから、
着まわせるよう二人の好みを取り入れるのも
いいかもと言っているのは
蛍お姉ちゃんだけど、
麗ちゃんは春のダイヤ改正
張り切って──
たくさん見に行きたい電車があるみたいだもの。
華やかでおしゃれで
あんまり実用一辺倒な小雨に合わせるのは
いけないと思います。
もっと春らしく、
明るい景色を歩いて出かけていける
麗ちゃんの背中が──
しっかり胸を張っていられるものならいいなって思うの。
見送る小雨も
きっとうれしくなるような気がする──
おしゃれに疎い小雨だから
具体的な相談には乗ってあげられないけれど
お兄ちゃんに聞いてみたらって
答えてみたの。
私たちよりもたくさんのことを知っている
お兄ちゃんなら──
どんなお出かけが春らしい感じがするか詳しいんじゃないかなって。
お兄ちゃん!
麗ちゃんの相談に乗ってあげてください。
みんながうきうき
暖かい季節の話をしているのを
小雨が見つけたら──
なぜかにこにこしているかもしれないんです。
寒さに耐えたつぼみがほころぶ季節が
早くやってきますように!