小雨

『かさばる小雨』
しばらく暖かい日が続いて
一度油断をしてしまうと
海晴お姉ちゃんのお天気予報でくり返し注意してくれているのに
どこか気が緩み
急に寒い日が来たときにあわてて取り出そうとした上着
タンスの奥の奥。
確かにごく最近に見た覚えのある
とても頼りになりそうなあのコートやセーターは
深く埋もれて掘り出すにも場所もわからない。
そんな経験は
お兄ちゃんはありませんか?
小雨はわりと心配性で
なるべく着替えをたくさん用意しておきたいほうなんだけど
それでも今朝の急な寒さにおびえ
タンスを探しているときに
つい使わなくなってきた服を
奥のほうにしまいがちだったことに気がついて
反省しがちなので。
余計な心配かもしれないと思っても
お兄ちゃんやみんなが無事でいてほしいと願っています。
やっとつかんだ大きめのセーターを
もそもそ一生懸命に着込んだ姿。
鏡に映ると
ようやく人心地をつけた小雨の顔がそこにあり
安心したのもつかのま。
急ごしらえで何枚も
これまで予想もしていなかった厚着になった小雨は
みんなが元気に遊んでいる隙間を通らせてもらおうとして
もこもこ感が思いのほか動きを鈍らせて
あいさつをして通り抜けるだけで時間がかかり
それで注目を浴びたり
急に飛びつかれて動揺したり
遊びに誘われて断れなかったりなど
思わぬ重ね着は小雨の一日を
くるくるふりまわす方向へ進んでいきました。
冬の寒さの前でも
すっきり上手な着こなしができる
スマートなセンスは
いつまでも身につかない小雨の長年の憧れ。
でも、本当にそんなおしゃれに自慢ありになった小雨は
これからの目標を見失って
しっかりしようと前向きになる動機がなくなる状態になりそうで
今は反省しながら
下手なくらいでかまわないのかも?
あんまり頼りすぎたらいけないと知っているけれど
小雨には明るい家族のみんながいて
特にお兄ちゃんがいつもいてくれるんですものね。
未来に目標と課題がいっぱいの小雨は
明日は蛍お姉ちゃんの提案したお弁当教室に参加します。
おいしくかわいくおなかも満足の
自分で作れて損はない
蛍お姉ちゃん直伝のお弁当。
参加希望の人数が多いみたいで
小雨は先生のお手伝いに回らないといけないかもしれないけど
まだなんにも自信がない
何事も勉強の小雨先生。
おそらく生徒のみんなにもいろいろなことを教わりながら
未来を夢見て明日もゆっくり
まだまだかなわぬ目標へ進んでいくのだと思います。