『到来』
台風が来る!
テレビの向こうから
海晴お姉ちゃんの声が聞こえて
私たちは──
ついに対策に動き始めたの!
ヒカルちゃんは
いざというときの
避難経路の確認!
春風ちゃんは
いざというときの非常食や
持ち出し袋の確認!
霙ちゃんは
それを真剣に見つめる監督です!
ああ、私たちのおうちが
台風の被害をなるべく受けないようにして
乗り切れるかしら──
蛍の役目は、
雨や風で不安にしているみんなを
元気にするための
メニューの準備。
買い出しは早めに済ませて
材料が足りなくなったりしないように。
おなかをすかせる子が
一人もいないように──
蛍が守らなくてはいけない。
そしてわがやの
お兄ちゃんは、
みんながどこか
雨の中に間違って出て行ったり
しないよう!
大切に抱っこしてあげて
遊んであげる役目を
任されたんですってね。
特に、麗ちゃんが出て行かないように
しっかり見ていて!
みたいなことを
海晴お姉ちゃんは心配していたみたいだけど
──
結局、台風の被害は
私たちの街にはそんなになかったみたい。
暗闇の中に手を伸ばし
激しく叩くような強い雨は──
いつのまにか
もう静かで穏やかな
秋の虫の鳴き声に変わったよう。
今回は何事もなく乗り切れたみたいですね。
海晴お姉ちゃんも帰ってきて安心してくれるよ。
麗ちゃんのことも──
わがままを言って出ていくどころか
ちっちゃい妹たちと遊んであげていましたって
教えてあげなくちゃ。
妹の世話をする子たち、
とっても頼りになったの!
あれって
お兄ちゃんの真似をしてくれたのかな?
みんながついつい
追いかけてしまう
大好きなお兄ちゃんがするのと同じこと──
だったもの。
とってもえらい麗ちゃんに星花ちゃん、
小雨ちゃんたち。
今度はたっぷりほめて、
そうしたら、もっとお姉ちゃんの蛍と
それからそれからお兄ちゃんが
たっぷり遊んであげるというのは
どうでしょう──
こんなふうに
していたよ、
立派だったよって──
ちゃんと教えてあげる蛍でいられるかしら。
嵐の後の
お仕事も
お兄ちゃんと協力していきたいな。
蛍、これからもがんばります!