『プライベート』
暑く長く自由だった時間は終わり
いつもの変わらない日々が続く。
私はそれでいいの。
寂しいことも、とてもうれしくて胸が熱くなることもない。
ただあの人と毎日会える
それだけで。
でもね、どうも立夏ちゃんはまだしゃっきりしてなくて
夏休み気分がどこかに残っているみたいに
部屋の中でも遊ぼう遊ぼうってまとわりつくの。
こちらとしては貴重な自由時間を活用し、
メリハリを持って過ごしたいの。
遊んであげられるのはお手伝いと宿題と
片付けと予習と調べ物のあと。
暇を作ってちゃんと相手をしてあげるからって
小さい子供でも言い聞かせればわかる理屈よ。
あんまり放っておくと忍び寄り
横に座って
人の鉛筆をいじる、
勝手に髪をとく。
そこは──
怒ってもいい場面よね。
大事にしてるってわかっているはずなんだし。
はあ。
ここまで伸ばしたことを考えるともったいないけど
そろそろ短くしたっていいのかな。
そうしたらもう
おもちゃにされないでしょう。
ちょっと手入れが面倒に感じる
この長い髪。
それとも、あまり意味がないのかな。
かまってほしいだけみたいで。
同じシャンプーを使っているのに
じっと見つめてチェックする。
状態はみんな大体似たような様子だってば。
何がそんなに気になるんだろう。
あなたも気をつけていないと
いつリボンを結ばれてしまうかわからないんだから。
まだ遊んでもらえる時間がたっぷりだと思っている人が近くにいて
ゆっくり本も読めないときは
少しくらい遅くまで学校の図書室に残っても
そろそろ読書の秋で済ませていい気がする。
自分の時間は誰にでも必要だもんね。
言い訳が出来る便利な季節に早く変わっていくといいわね。
私、明日は遅くなるかもしれないから。
立夏ちゃんが襲い掛かってきても
あまり甘やかさないであげてね。