海晴

『はじまりました』
みんなの新たな学校生活が始まってから一週間。
突然やって来た大きな台風や、続く暑さに心配しながら見ていると
子供たちは自然な姿でその子なりの生活を取り戻していく。
学校で経験してきたことはいっぱい。
なんでも聞いてほしくて
次から次へと家族の長女のもとへ
日々の出来事を報告に訪れる。
好きなだけ話したら
また飛び出して行って新しい発見を探してくるの。
ひとときもじっとしていられない!
うずうず
そわそわ。
私が小さいときもこんな感じだったかな?
もうちょっと落ち着きがあったかも──?
いっこ下が霙ちゃんだし
ほかに止める人はいないんだから。
そんな霙ちゃんを見て感じるところがあったのか
しっかりしていた春風ちゃんやヒカルちゃんたちもまた
二学期が始まったら聞いてほしいことが多くなって
私のところへ──
登下校時の甘いエピソードなんかを伝えに来るよ!
目が合ったとか。
お天気の話をしたとか。
そんな感じ。
ずらりと輪を成して子供たちの話は続く。
暑かったり
さむかったり
虫を見つけたり
見つからないで鳴いているだけだったり
国語も算数も
体育も放課後のドッジボール
うまくいったこともそうでないことも
帰ってきておやつに作ったケーキがよくできたけど
みんな喜んでくれただろうかとか
今日はおやつのケーキがおいしかったとか
ズボンとスカートのおはなし
乾くまで待っている洗濯物に込められた秘密のエピソード。
なんと給食を残さず食べたおしらせ
どこかの鉄道路線廃線になるというしらせ。
ついに9人になったAqoursはこれからいったいどうなっていくの!?
明日のお天気
おしえてくださいな
お姉ちゃん。
たった数日で
話したいことばっかりどっさり持ち帰って
学校がはじまってから最初の週末も
したいことがたくさんあるらしい。
明日からは天気がすっきりしないみたいだけど
そんなことは関係なく家の中はこれからもにぎやかなんでしょうね。
こうなったらもう
全部聞いてあげるから
話したいこと残らず持ってきなさい!
お姉ちゃんは楽しみにして待っているね。
ずーっと昔からこうだから
慣れるとかどうとかの問題はとおの昔に通り過ぎ
今ここにあるのは
むしろ背中から忍び寄り、捕まえて話をせがむような
おちゃめなところもある大人。
逃げるのは誰かしら?
わくわくしたとき
海晴がいる限り
もう二度と話したりない気分になんてさせない。
秘密を全部盗み取るまで
好きな子の後ろ姿を追いかけているよ。