『初日』
連休が始まった。
待ちに待っていた、なのか
さあこれから大変になるぞ、と腕まくりをするかはそれぞれだが
来るものは来てしまったので
あとは私たちの気持ち次第。
せっかくの休日を有意義に過ごそうと考えるのは自然なこと。
新メニューの開発するもよし、
余暇を利用して自分磨きもできるし
たっぷりのまとまった時間があると
原初を知る混沌の海のような部屋が呼んでいるともいえる。
もちろん寝て過ごす手も、
ひたすら体を動かすのもあり。
疲れきったときには
包容力のある視線でみんなを見守ってくれる
小雨あたりが……
なんとかしてくれるんじゃないかな?
まじめに学生らしい活動に励むのも良いが
それは普段でもできるという視点があるなら
やはり連休となれば遊ぶのも仕事のうちとするのも
ひとつの提案ではないだろうか?
まずはじめに子供たちが始めたのは
そこらじゅうの地面をぺたぺたして面白い形の石を探すという
黄金の名を冠する日々とはまるで思えない過ごし方だが
それにしても汚れた手をきちんと洗う習慣を身につける一助になるとすれば
衛生の観念と集団行動の決まりを知り、得るものも多いだろうし
もくもくと大人しく、手がかからなくて
ただ観察しているだけでお子守の立派な仕事をして胸を張れるのもいい。
あの真剣な横顔。
決して私には邪魔などできはしない。
色や手触り、いい石を選ぶ基準は複雑だが
結局は自分自身の判断によるもの。
己を見つめなおし
信念を確かめ
それぞれが違う基準を持ち
本当に大切なものは何かと知る大事な経験。
子供の遊びとは
常に学びと隣り合っているのだな。
お気に入りの石に絵を塗りたがるのも
文化的な素養を育むいい機会と言えないこともない。
思いを込める要素に置いても
昔から小石といえば
恋し、という言霊にも通じ
気に入った形の石に絵をつけて贈り物にする風習があったと
思いつきの話を信じてしまう子がいたらどうなってしまうだろうとためらったので
現時点では私の胸の中に収めている。
もう少し信憑性が増すタイミングがあるかもしれないし。
ありえないとわかっていながらも
信じたふりをして贈り物を用意するちゃっかりした子が現れ始めたら
そこは先手必勝という言葉もあり
先に用意しておいたほうがインパクトはあるだろうから
手札を切る前にもう少しアイデアを暖めたいと……そんな大げさなこともないか。
小石の贈り物に困惑する弟を見るのも忍びない。
なるべく喜んでもらえそうなものを用意したい気持ちはよくわかるぞ。
臨時のお料理教室とお掃除教室はまだまだ生徒募集中だそうだ。
休日が続いたところで、することもなく暇をもてあますことなどありえない環境。
疲れたら小雨がなんとかしてくれたらいいな?
こうして家族のふだんと違う顔を見ることができるのもこんな特別な休日の楽しみのひとつ。
全てを見逃さないようにとがんばる
そんな年長の仕事もなかなか忙しく、面白そうな黄金の日々だ。