小雨

『近づく嵐』
台風がやってくる!
南の海の熱い空気と
湿度と暴風を運んで
大きな台風が私たちの街を目指して進みます。
ここは日曜日の夜あたりから
影響が大きくなるらしい──
小雨はあまり激しい雨や風が
みんなに怖い思いをさせたりしないよう
祈るばかりです。
大粒の雨の滴が窓を叩くあの音も
ひゅうひゅう太い枝を揺らす風も
家の中にひりひりと緊張感を呼んで
子供たちは泣き出してしまう──
小雨の願いは名前のとおり
大きな台風が小雨で済んでくれないかなと
不思議な力に期待してしまうのですけど
台風が何度か雨を呼んだ今年の夏も
あまり願いが天に届いたというような感じはなく
激しい雨音、吹きすさぶ風、みんなの悲鳴、
わりと大雨でした……
しかも小雨が降るようにと願ったためか
花火大会やお祭りがときどき
小雨で中止になって
あれは小雨のせいだったのか──
夏の楽しい思い出は
小雨が邪魔をして幻と消えてしまうのか
などと──
うつむきがちな台風の夏でした。
でも、しかたないですよね。
人間が台風をどうにかできるほうが珍しいんだから
怖い台風をなんとかして乗り切ることを考えなくては!
家を包む嵐におびえた子たちが
小雨のところに助けを求めにやってきてくれて
これでも──お姉ちゃんなので
頼りにしてくれるんです。
抱っこしてあげたり
歌を聞かせてみたり
おはなしをしてあげたりしていると
やがて小さな寝息が聞こえてくる──
小雨が出来るすべてですけど
そんなに悲しんでばかりいなくてもいいのかなって気が
してきませんか?
小雨はやっぱり無駄だと知りつつ
穏やかな雨で済むことを願い、
思ったとおりに無駄に終わったらなんとかして
泣き止んでくれるまで小さい子に付き合おうと思います。
お姉ちゃんたちも大変そうだから
お料理のお手伝いもしなくっちゃ。
簡単なものばかりが食卓に並んでしまうかもしれないけど
たくさん作って
愛情をこめておきます!