観月

『極意』
休んでも休んでも
まだ連休じゃ!
朝寝坊をして
お昼寝しすぎ
夜は眠れないかと思いきや
きれいな絵本を広げているうちに夢へと誘われ
それでもまだ眠って良しとばかりに
自由時間は押し寄せる。
春の眠りはこんな感じなのか。
でもそろそろ暑くなってきたからな。
おひるははんそで。
寒かったら、姉じゃたちにちゃんということ。
そでをちょうちんにしてもらえます。
最初は戸惑いのあったちょうちん宣言も
そでぐちに手の込んだ刺繍をつけてもらえるようになったため
そわそわする子は
さむい……かな?
お昼だからまだだな、
はんそででうろうろ。
そのうち、刺繍じゃなくて上着が必要になる時間まで
座布団を抱いて目を閉じているうちに飛び越えた。
でもまだ連休は続くので大丈夫。
そうこうしているうちに刺繍だらけでお姫様みたいになるぞ。
慌てる必要はない。
なにしろこれだけ時間があれば、教わって自分でつけるのも良いのだし
きっと連休が終わるまでにずいぶん大人になって
嫁ぎ先を探すまでになり
兄じゃにおねがいをもうして
新しく生まれ来る子供たちはシャツもズボンも
パンツも靴下もまるで紫や黄の花壇のような花模様の刺繍でいっぱい。
おままごとのお人形がお大尽みたいに豪華になってゆく。
そのおせんたくが大変でも
大事な服を網に入れてお風呂場のぬるま湯でやさしく手もみ洗いしたところで
そう容易に日は暮れない。
なんといっても連休。
山のようなみんなの洗濯物も
たすきがけのちびっこたちと指導教官の春風姉じゃとたまたま誘われた氷柱姉じゃで
日が傾く前に片付いた。
お昼やおやつのお献立に迷って
リクエストに全部応えるか!
春風姉じゃが開眼して
騒々しさになんだなんだと家族が揃うから
また人手が集まってささっと手早く済んでしまう。
なにをしたものであろう?
連休。
夕凪姉じゃはトランプ手品の練習で
あさひを楽しませている。
柄がわかるのであろうか?
じゃーん! とかばーん! とかいう掛け声に反応しているだけでは?
いくらでも続いて
何度でもあさひは喜ぶ。
これからも連休が続いたら
夕凪姉じゃの技はますます磨かれていくであろう。
世界一の大魔術師が生まれるのも連休のおかげであった。
麗姉じゃは東京スカイツリー行きのしおりを作り
海晴姉者が口出しをしてはうるさがられ
これまた他に並ぶものがない仲良し姉妹も連休によって育てられるのじゃな。
すでに離れがたい仲のきょうだいは
兄じゃとわらわがいちばん。
おんぶおばけをよくしているし。
いったいどこまで結ばれるのか?
楽しい笑顔に限界はないのか
試すときがきたようじゃ。
この道を選んだらもう引き返すことはできないのだな。
せっかくひまをもてあましているのに
やり残した後悔などあってはならない。
何者も永遠に兄じゃを奪えぬようになるまで心を縛る術は
ひそかに成功したり失敗もしているようだから
さらに先を行く挑戦をするのだな。
新しい術を試し
兄じゃの心がさらに素直になる──
これは充実の修行になりそうじゃ。
連休はまだこれからが本番。
兄じゃの挑戦は見つかったか?
もっともっとわらわと遊んでみると良い。
限界のその先に新しく開ける景色がきっと見つかるであろう。
どんな景色が広がっていても責任は持てないが
いつもわらわがついているから大丈夫なのじゃ!