『難しい考え事』
今日はよく晴れた、すっきりいいお天気の日曜日。
たまに吹く風はあったけれど
まあ、まだまだ青空が飛ばされないくらいだから大丈夫ね。
干したお布団に乗って
これなら突風を受ける面積も広いと子供なりに考えたのか
わくわく風が運んでくれるのを待っているうちに
気持ちよくて眠り込んでしまう。
そんな日はまだもう少し先ね。
今のところは穏やかな
冬の晴れ間といった感じ。
こんな快適な日には
勢い余って
ちょっとした冷蔵庫の片付けのはずが
たまたま近くでのんびりしていた面々をフルに使いこなし
……私の立場からしてみれば容赦なく使われこなし
残り少ない野菜とそれなりの卵をためらわずフライパンに放り込んで炒め
トマトはトマトでパンと良く合うスープの材料として重宝され
庭に出てゴミの袋に包みの紙を仕分ける一大プロジェクト。
少々手の込んだお料理をする気分になったらしい蛍姉様と
ハイホーハイホー歌いながら勤勉な小人のごとく労働を謳歌する私たち。
これも全部さわやかに晴れたお天気のせいなんだわ。
前触れもなくはじまった冷蔵庫の大掃除に
お茶の時間にぐったりしたあと、甘いものが出てきたらパクパクつまむ
少し急いでやりすぎただろうか? みたいな話になるところまでが一セット。
あるいは
今だけは反省したような顔をしつつ、次のはじまりが訪れたら
あの時は少し張り切りすぎた気もするけど
まあ今日は大丈夫だろう、
と言ってまったく同じ事を繰り返すまでが決まりきった流れなのかもしれないわ。
お疲れさまの有意義な日曜日を経て
よくお仕事をしたごほうびにもらえることとなったおこづかいは
一人当たり200円。
これはなかなか
使い道に悩む余地のある
臨時収入としては、それなりの額ね。
ぱっとお菓子に使うにしても
考えて選べば立派な品が二つは買えるのだから。
駄菓子屋さんに行くならば
普段はためらわれるかなりの豪遊ができるわ。
なにしろ労働の正当な代価として
うるさいことをあまり言われない自由な使い方が許されるお金。
まあ、大事にするようにともらうときに一応釘はさされたのだけど。
半分使って、残りは取っておく余裕もある。
もちろんお財布にまるごと残しておいて、今後に備えるにも充分。
本当は一時の欲望で
今を充実させるためにとむやみやたらに散財するよりは
手元に置いて、いざという時に備えるのが賢いと知っている。
先のことは何があるかわからないんだから。
でもこんなふうに急に暖かくなって
明日も気持ちよく晴れるとなれば
ついつい気分も大きくなりがちで
わけもなくのんびりと帰り道を歩くだけで胸が弾んで
次第に春めく気温を感じて
少し額に汗がにじんだら
何の気なしに缶のジュースで一息──
そんなふうにせっかくのお金を使ってしまったらと思うとおそろしいわ!
だから明日の放課後に備えて今夜のうちからジューサーを用意し、
蛍姉様がお買い物をしてから帰ると聞いてお願いしておいたそれ用の果物を使った
フレッシュなジュースを予約しておくの。
そろそろ透明でスタイリッシュで見た目もかわいいジューサーの出番も増える時期になるんだわ。
口当たりがよくなるからってグラスに氷を入れるのはまだ早すぎるわよね?
たとえ氷が立てる音が涼しげで楽しいからって
こういうのは、果物と混ぜて薄める水の割合が肝心なんだから。