海晴

『大きな声で』
毎朝のお天気番組で
見習いお天気お姉さんとして続けているお仕事。
だけど週末は一休み。
夏休み最後の来週のお祭りにも行ける。
ちょっと夜更かしもできるんだよ。
なのでゆうべはゆっくり過ごした日。
ちびっこたちが眠りについたら
いつもみんなおうちのことおつかれさま!
もう少しだけ起きていられる年の子たちへねぎらいを。
おうちの手伝いができなくてすまないねえ……
まあ春風ちゃんも蛍ちゃんも少し手を休めてゆっくりしなさいな。
みたいなね。
氷柱ちゃんもさっさと部屋に戻ってしまいたいみたいだけど
こういうなんでもないお話の場に
くすぐったい顔をしていたって慣れておいたほうがいいから!
ここはお姉ちゃんを立てると思って!
と、まあね。
呼んでないのにいつの間にかいる霙ちゃんみたいに
時には押しが強いのも大事だし。
せっかく弟クンもいてくれる。
こういう時にしかできないお話が
きっとあると思うから。
ある意味では深夜のテンションだけど。
見方を変えれば、親しい人にしか見せない姿。
家族の時間。
私たちは、同じ時間を過ごしていい家族なのだから。
なんでも話そう。
好きな人を聞いてしまおう。
好みのタイプ。
町で見かけたかわいい服が似合ったら
恋に挑戦する勇気が出るのかな。
怖くても震えてばかりいるのはもったいない。
お姉ちゃんもそんなの見ていてもつまらないし……
もっとばりばりアプローチしていっていいんだよ!
応援するよ!
なんでも相談して!
おねがい、氷柱ちゃん!
お姉ちゃんは家族の力になるのが好きなのです。
もしも助けに慣れないことがあったら
その時は許してね。
楽しい時間。
もうそろそろ眠くなってきたかな。
明日もあるんだもの。
そんな言葉もなかなか切り出せないいとしい夜の過ごし方。
そうだよね、明日もあるのにね。
楽しい土曜日が待っているはずなのに
どうしてだろうね。
まだ終わりにしたくないのはなぜだろう。
なかなか答えが見つからなくても、
お菓子の皿が空いたとか。
ポットのお湯が途切れた瞬間とか
ちょっとしたきっかけに背中を押してもらわなければ
私だけがまだこのままでいたいって
一人で思っていたらいけないかな……
いつまでも、夜が遅くなっても続いていけそうで迷うのだけど。
でも早起きしてくれるえらい弟や妹たちを見るのもうれしいんだから
遅くまでつき合わせてしまった私が責任を持って後片付けを引き受けて
おやすみなさい。
寝苦しい夜は続くけど
でも今はできる限り
みんなが幸せな夢を見て夜を過ごせますように、
それだけを祈って。
それぞれのベッドに落ち着くはずのみんなを見送っている。
ささやく声で
また明日。
早起きして会おうね。
届くかどうかわからないくらい
一人で勝手に約束を決めて。
そして私も土曜日を迎えます。
ゆっくり過ごせる週末。
いつも穏やかな時間ばかりになるとは限らないけど、
はじまりの出会いは元気良く。
朝早いけだるい時間だって
さわやかにおはようって言いたいの。
ふあーあ。
やっぱりゆうべは遅くまではしゃぎすぎちゃったかなあ?
せめて朝一番に顔を合わせたときくらいは元気な言葉を交わしたかった
一人きりの誓いは
どうもなかなか守られることはなく。
やっぱり少しくらい強引な男の子に引っ張られるほうが向いているのかなあ?
それとも、眠いふりをしてソファの隣で体を預けても受け止めてくれる優しいキミが
私をこんなふうにあったかい気持ちにしてくれるのかな。
暑苦しさが言い訳できないほどぎゅうぎゅう寄りかかってしまってごめんね!
おうちで土曜日を過ごすお姉ちゃんは
今日はどうしても甘えたくてたまらなかったからです。