綿雪

『今年の場合』
吹雪ちゃんの話によると
心の成長に応じて
体も大きくなる例は全くないとは言い切れない。
栄養管理が上手になったり
運動も休憩もきちんとできていたり──
遠くから見ると魔法のようで
ちゃんと観察すれば
現代科学は多少の裏付けを与えてくれる。
子供の成長は
まだ、よくわかっていないことが多いものだ。
だそうです。
みんなとよく遊び
小さい妹たちのお世話をして
お兄ちゃんにもよくかまってもらって──
わがやの子供たちはみんな
大きく成長するのが今だとしても
なんの不思議もない。
今年の春休みはどうだろう?
ユキは遠くから見たら
たまにはお姉さんに見えることもあるくらい
大きくなったのでしょうか?
ゆうべから雨は激しく
寒さもまた厳しくて──
また穏やかな春が遠く思えるような
心細い一夜を越え
今日はなんだか急に暖かくなって
もう不満なんて一つもないとても気持ちのいい日──
お天気を調べている海晴お姉ちゃんから見ると
予報の通りで安心したとか──
みんなが遊べてよかったとか。
少し、泥だらけになる子もいたけれど。
ちゃんとお洗濯もいっぱいできるように
お片付けも掃除もできていた。
お外で遊ぶ子を
天気予報が待っていたようだ。
頭がいい人の役に立つ知識は
のどかな春を、また今年ゆっくり過ごしたいユキたちにも
とっても助かるよう。
いろんな人に助けてもらって
吹雪ちゃんも研究していた大きくなる知恵に
助けてもらえるなら──
ある日、とつぜん力を持った冬の妖精
それを止めようと日々をしっかり真面目に過ごして
大きくなりつつある子供たちに囲まれ
ついに逃げ去ったというなら。
という、想像のお話です。
寒さも急に去って行って
しばらくはみんなで春らしい毎日を迎えられるでしょうか。
それとも──やっぱり強い風で冷たく感じる日はまだあるかしら?
だんだん大きくなる私たちなら
どんなことがあっても困らないに違いない。
乗り越えていける──
そうだといいな。
そんなに簡単なことばかりでは全然ないけれど
たまにやさしい穏やかな日を過ごしたら──たまにふくらむ心も
ちっともかまわないはずなの。
もうすぐ桜がきれいに咲くんだって。
ユキもその日はとっても元気で──見に行きたいと思うんです。