さくら

『ゆきあそびエンジェル』
しんしんと
しろいゆきは
ふりつもる──
ちいさなさくらのすむまちに、
ことしもゆきがふる!
あんまりたくさんは
つもらないけれど
おねえちゃんたちと
お兄ちゃんとおそとにでて
みていてもらうの。
みわたすかぎりにひろがるゆきのうえ、
あしあとをつけたり──
おにわの木につもったのを
こわがりながら
つついたりするの。
つめたーい!
たのしい!
ふしぎ!
ことしのゆきは
しっとり、あめまじり。
しゃりしゃり
しとしと。
さくらをぬらす。
みんなもぬらす。
ぬれるといけないから
そんなにたくさんは
おそとであそべない──
でも、ゆきであそんで
ほくほくだ!
ゆきげしきのまっしろさくらをみて──
はりきってあそんだから
ほっぺたがぽかぽか、
あかくなっちゃったって
みんながわらう。
さくらはなぜか、
しっている──
ゆうなおねえちゃんたちくらいのおねえさんは
さくらよりも、もっとはりきって
ほほがぽかぽか──
おめめもきらきら──
きっと、さくらがしらない
たのしいゆきのあそびかたをしっていたにちがいない。
しまった!
おしえてもらえばよかったな。
そしてまた
さくらはもうひとつ、しっている。
みはるおねえちゃんたちくらいのおねえさんは
さくらたちがかぜをひかないように
みていてくれたとおもったら──
とってもうれしそう。
なんだかいちばんたのしかったことがあったように
わらっている。
さくらの手をとって──
つめたいってびっくりするよ。
これはもう、かえったらおふろだね。
さくらちゃんをあったかくしてあげなくちゃね──
みんながみんな
さくらのつめたい手を
たしかめにくるよ。
ゆきあそびをしたこどもたちが
おうちにかえる──
あしあとをたくさんつけたのに
あしたには、きえてしまうんだって。
そういって
さくらの手をあっためながら、わらっていたよ。