『チョコレートのにおい』
バレンタインはまだまだ先。
友チョコを送り合う予定の人も
まあ──私はよくわからないけどまじめな人も
今から準備をすると
少々早くて
疲れるかもしれない──
でも、今はそこまで真剣にならなくたって
腕試しのつもりで試作品を作ってみても
いいかもしれない。
なにしろ、チョコレートが嫌いな子なんて
この世にはひとりだっていないのだから──
私は甘すぎないほうが好み。
それにしても、ちょっとまえのクリスマスやおせちや
なんだかいつでも試作品を食べている気がするわね、
このおうちは──
特別なイベントのためのはずなんだけど
こうしていつも試作が出てくると
どちらが特別なのか
何もない日のほうがめずらしいのか?
よくわからなくなってくるわね。
いいけど。
少し困るのは──
私も聞かれるの。
作らないのかな、って。
生まれつきぶきっちょで
そんなに女の子らしいイベントに関わらないで済むように
神様からのお墨付きをもらったみたいに
できないことにかけては自信があるから──
作らないけど。
なぜか、毎年言われるのよね。
生まれ持っての性質が
去年から変わっているとでも
いうのだろうか!?
女の子として生まれたのが
別に次の年に男の子には
なかなかならないのと同じように──
不器用に生まれついた子供は
今年はちょっと
やってみようかなって──
ならないんじゃないかしら!?
よっぽどのことがない限り。
いや──騒々しくて落ち着かない家だから
イベントごといっぱい、
ちょっとしたきっかけで
よっぽどのことが起きてもおかしくないのかな──?
今年はそうはならないみたいだけど。
というわけで、おそらく私もあなたと同じ試食仲間よ。
せっかくだからいろいろ自分の好きな味を主張してみようかな。
ある程度、わがままになりすぎないようにごまかして
男の人は甘すぎないほうが好きなんじゃない?
って言えば──
嘘じゃないもんね。
たまたま偶然、私の好みが一緒なだけだから!