観月

『拾い物』
すっかり季節は冬じゃ。
寒くなって
お外で遊ぶのも大変だというのに
青空は元気に走り回って
なんでもつっついて
拾って帰ってきてしまう。
ちゃんと帰ってすぐ
手を洗ってくれる
良い子でなければならぬ。
確かに、この時期ならではの
変わったものは落ちているかもしれぬ。
すっかり葉が落ちた枝の下に
きらきら輝くような
紅色が降り積もる。
からからになった虫の残骸や
乾ききった紙切れ。
みんなが好きな良い形の石も
どことなく尖っているようじゃ。
持ってきたらいけない
特別なものだって
青空にはわからないし──
よく見ていてあげなければ。
どうしても手元に置いておきたいというものは
しっかり洗ってきれいにしておいたり──
そうすれば、このように
大事なものをしまって
整頓する習慣もついて
教育に良く──
いや、ものが増えて
もてあましているようじゃの。
青空の宝箱からあふれて散らかっている。
今年一年──
ずいぶんたくさん
大事なものを集めて
こんなにいっぱいじゃ。
うーん──
すべてはとっておけぬ。
でも、捨てるにも忍びない。
大掃除が近づく頃に
そんな都合など関係なく
世の中は必ず
誘惑を増して
ものをたくわえさせようとする──
子供たちは今日もうれしそうに
宝箱を溢れさせて困ってしまうのじゃ。