『はたらくくるま』
飛行機にブルドーザー、
地底を掘り進むシールドマシン
子供はみんな
働く機械が大好きだって
ずっとずっと昔から決まっているの。
どれだけ時が経っても変わらない
世界の真実。
今ではすっかり女の子らしくなった
小さくてかわいかった
妹たちも──
かつては絵本を見て
歓声を上げていたっけ。
それなのに、どうして
ただ大人になったというだけで──
みんなみんな
好みが変わっていってしまうんだろう。
鋼の武骨さも
ステンレス鋼のきらめきも
今も何も変わってはいないというのに
人の心だけがうつろいやすく、儚い。
膝の上で喜んで
大きな車両の絵本を広げている
青空や虹子も、
いつか今日のことを忘れてしまって
おしゃれが得意な
女の子になっていくのかしら。
そんなの──
そんなの──
何かいけない。
良くないわ!
きっと、いつまでも変わらず私たちを支えている
力強さがあるんだもの。
誰か一人でも忘れずに
伝え続けていかなければ。
私は大きくなっても
今まで好きだったものを
忘れたりなんかしない──
はあ、それにしても
こんなにきょうだいがいるなら
同じ志を掲げて
魅力を伝え続けようとする
高邁な理想に燃える人は
あらわれないものかしら。
青空が描いた絵はよくできているわ。
今にも飛び立ちそうなくらい──
そうだ! 大事に取っておいて、大きくなったら
こんなにかしこい子だったのよーって
見せてあげなくちゃ!
よーし、決めた。
私が忘れなければ大丈夫だわ。
やがてきっと来るその日──
今日みたいに輝く瞳で喜ぶときを
──ええ、必ずその日を迎えるわ。