観月

『風の子』
ずっと薄雲に陰った寒い日となった。
あまりに寒くて
みながその話ばっかり。
気を使ってくれて
姉じゃたちが上着を着せてくれるのは楽しいが
幼稚園でもおうちでも
お外に飛んでいった後をついてくる子は少ない。
どんな寒い日であろうと
わらわはかけっこがしたいのじゃ。
やはり、なんとかしなければなるまい。
一人でどうにかしようとしてできるものではないが
まあ、どうせできるわけがないなら
だめでもともと
やってみても損をすることもないであろう。
あそんでもらえないと
おひまだし。
こんなに日が差さないのはどうしてかというと
うわさに聞く太陽をついばむ鳥や狼の仕業だとすれば
おどかして追い掛け回せば
まだちょっと小さくて修行が足りないわらわでもなんとかなりそうだが。
まあ、そのへんをさがして
大変な悪さをするものが素直に見つかるわけはない。
ああいうのはもっと
近頃色づいてきたきたあの山の奥のほうにいるものだが
もう日暮れも早いし、そうそう遠くまでおでかけはできぬ。
山奥は兄じゃもいなくてつまらないし……
ちょっとあたりを眺めて帰ってきてしまった。
艶のある良い色の落ち葉も今日は見つからなかった。
でも、早く戻ってきたこともあって
役立ちそうなうわさ話も聞けたぞ。
虹子と青空が見つけて大事にしていたどんぐりが
いつのまにか宝箱のふたを開けてどこかへ逃げてしまっていたこと。
ふたりがつかまえた小さな秋は去った。
確かに冬が近いことを告げているのだろう。
それから、小雨姉じゃのお話によれば
あまり暖かくならないのは
太陽がお空をゆく通り道が変わって、日が差す角度がちょっと斜めに傾いたからだという。
学校の授業でかつて実験をしたことがあるそうな。
ふうん──
逃げ回るのではなく
鳥たちでも食べやすいように頭を垂れた
実りの時期を迎えた金色の果実ということか。
うーん、えらい。
ちょっとくらい食べられてもかまわないとする大きな器。
さすがにわらわと家族を照らすお日様じゃ。
とてもかなわぬ。
わらわもちょっと小さな子に優しくしてみよう。
というわけで、明日は虹子と青空を連れて
空になった宝箱に入れる次の冬の便りを探しにおさんぽじゃ。
横で話を聞いて行きたがったさくらと霙姉じゃも一緒となる。
何を見つけて来れたら良いか、
冬になって山に隠れる前に抜け落ちた鬼の角か
ちいさいちいさい雪虫が地面に残すかすかな足跡か
それともすでに食べられきって何もなくて
ただ飛び跳ね回って帰ってくるか
まあ、せいぜいそのあたりであろう。
そろそろ、そんな当たり前の冬の過ごし方をする頃が近いようじゃ。