真璃

『おはなし』
むかしむかしの
あの頃から──
みんなに愛されるレディと
小さい子供たちは
もう、決まって
なかなか遠くに行ったり
星のきれいな時間に夜更かししたり
そんなことができないでしょう?
とってもぜいたくな高級品。
それは、いつの時代でも
いろいろな経験を重ねてきたあの人たちの
面白いお土産話。
丘の上の
見晴らしのいい場所からの景色が
どんなに美しいか──
大勢の人が集まる学校で
生徒のみんなの代表になるお仕事が
どれだけ地道で大変で
忙しい分、面白い出会いがあるのか。
芸能事務所のそばにある
休憩のできる小さなお店の
この時期のケーキが
かわいい飾りつけでおいしいとか、
いいわね!
大人って!
マリーは大きくなったら
きっと、まっさきに
クリスマスにフェルゼンの手を引っ張って
丘の上にのぼり
人の集まる場所でお買い物をして
うわさのケーキのお店へ行って
それから──
あら? それからのことは
お土産話が好きで好きで
みんなにせがんでばっかりのマリーなのに
うかつにも聞き忘れてしまったわ。
まだ小さな子供だから
そんなに急いで情報収集しなくても
かまわないとは言えるけど──
でも、まだ知らないことを
聞いてしまったら
マリーはたぶんわくわくして
思い描いては
ため息をついてしまうだろうから
みんながなかなか話をしなかったのも仕方がないわね。
聞き出すには──
きっと、テクニックが必要になるはずね。