さくら

『まりあ』
ふゆのよるは──
くらいくらいくらい。
くらいよるは
こわいこわいこわい。
さむくって
おふとんにはいったさくらは
いまも、なぜか
ねむれない。
おふろで
あったまったのに──
はも
つるつるまっしろ
よくみがいたのに。
どうして?
ふゆのよるがさむくって
おふとんがたりないのかな?
くらくって
さみしくって
ねむるまえのおはなしが
たりなかったの?
もしかして──
おなかがすいていたりして。
くらいくらい、
こわいこわい──
おふとんを
しっかり、
あしもひざも
くびもまもって
かけている。
さくらのおふとんはあったかくてふわふわ。
そういえば──
さくら、ねむるまえに
こんなおはなしをきいたよ。
はるかおねえちゃんは
こもりうたと
おはなしがすき。
よるになると──
こいをしたおんなのこは
ねむれなくなることがあるらしい。
さくらたちには
まだはやいらしい──
おひさまのよくさすおひるに
あそびたりなかったの?
こうえんに、うっかりわすれものをして
きになっていたりするのかな──?
それとも、やっぱり──
くらいくらいくらい。
さくらのおふとんは
ぽっかぽかだよ。