小雨

『日記のこと』
今日も日記に書いておきたい出来事が
たくさんありました。
青空ちゃんが大きな木の実を拾ってきたこと。
春風お姉ちゃんにお料理を褒めてもらえたこと。
麗ちゃんが立夏ちゃんに怒っていたこと。
どれも大事なことばっかり。
何からにするといいのかな──?
でも、ふと思い出したことで
そういえば──
お兄ちゃんに、私たち家族のことを知ってもらいたくて
読んでもらう日記の他に、
日常のふつうのことや
備忘録くらいの意味合いで書いている
自分だけの日記が
もうひとつあって──
そちらには、ぜんぜんたいしたことは
書いてないの。
習慣として続けていたけれど
考えてみれば
お兄ちゃんへの日記ばかり書きたくて
あの日記は──このごろあんまり
読み返していなかった気がします。
そういえば最近は──
それから、少し前くらいの時期は──
何を書いていたんだっけ?
備忘録としては、一度読み返してみても
いいと思うんだけど──
小雨は読み返すのが
ちょっと怖くて
勇気が出ない──
そうだ、小雨に勇気が出ないときは
いつもお兄ちゃんがそばにいてくれたんです。
だからきっと
お兄ちゃんと一緒に
小雨の個人的な日記を広げて眺め──
そそそ、そんなこと
できるわけない!
うえーん、お兄ちゃん、
小雨はどうしたらいいんでしょう──?