さくら

『かわいいお姉ちゃん』
あっというまに
かわいいコックさん。
……
う、う、
うわーん!
かわいいコックさんを見ると
さくらはかなしいの。
おうちのかわいいコックさんは
春風お姉ちゃん。
やさしくて──
おりょうりができて──
さくらとあそんでくれる。
すごろくも
まりつきも
ものまねも
いっしょにしてくれるんだもの!
でも、立夏お姉ちゃんに
言いすぎたかもーって
泣いていたの。
きれいでかわいい
春風お姉ちゃんが泣くと
さくらも泣いちゃう──
つられて
あーちゃんもおわーって泣いちゃうから
ますますかなしい。
でもね!
立夏お姉ちゃんが
ごめんなさいって
かけてきて
春風お姉ちゃんも
ごめんなさいって
うけとめて
みんなはおおよろこび。
みんながよろこぶと
さくらもうれしくて
いつもよりもたかくとびはねたり
はやくおどるよ。
立夏お姉ちゃんは
おわびにないしょで見つけ出したヒミツをおしえるねって
いってたし
春風お姉ちゃんは
いいの!
そんなのはいいの!
立夏ちゃんが元気で笑顔でいてくれたらなにもいらない!
なんだって。
立夏お姉ちゃんのお礼の
とくべつなヒミツは
とっても助けてくれた小雨お姉ちゃんのところへ。
でも
小雨お姉ちゃんは
これはもらっていいものなんだろうかって
あわてていた。
お兄ちゃんの好きなもの──
わかっちゃうよ!
といって
お兄ちゃんの好きなごはんのおかずをつくったという。
小雨お姉ちゃんも
かわいいコックさんなの!
えがおのばんごはんに
お兄ちゃんの好きなごはんのおかずはあった?
だけどさくらは
みんながうれしいから
はりきっておさらをはこんだら
ころぶし
とくになにもなくても
あわててころぶし
おいしいねって
もりもりたべたら
あったまって
はなみずがたれてきた。
ぐっすん──
おうちの
かわいくないおんなのこ──
それはさくら。
大きくなったら
かわいくなれる?
おりょうりもおぼえられる?
なりたいな!
さくらはいますぐ
エプロンのにあう
すてきでかわいいコックさんに
なりたいのに──
やさしい春風お姉ちゃん、
元気な立夏お姉ちゃん、
あったかい小雨お姉ちゃん、
さくらのお兄ちゃん、
さくらに大きくなるヒミツをおしえて!
ちいさなさくらの
むちゃなたのみを
どうかかなえてほしいの。
だから
おねがいします!