さくら

『なきむし』
うえーん!
うえーん!
あっ──いけない。
ぐっ。
ぐぐっ
ずずず。
なきむしのさくらが、
ほうきと
せんたくものと
おきがえといろいろをもって
おうちのあちこちをかけまわる。
さくらちゃんは──
おてつだいをしたいんだって。
いくぞ!
そうしたら
あさからばんまで
ころんでないて
くらいところでないて
ついに、せんたくものをおっことしてないて
にげだしてしまった!
ぐすぐす──
あんまりなきむしでは
おてつだいができないの。
おへやにかえった
さくらちゃんは、
おなかがすいても
おふくがべしょべしょでも
なかなか、そこからでてこない。
このままでは
はるかおねえちゃんがむりをして
ゆびからどくがはいって
しんでしまう!
うわーん!
そうなってしまったらかなしいから
さくらはこそこそ
おへやをでてみて──
また、おてつだいをはじめるといいます。
あっ!
あそこでかつやくしているのは
なみだをこらえた
さくらちゃんかしら?
それとも──
あそこでころがっているのが
さくらちゃんかしら?
お兄ちゃんは、どっちだとおもう?
よくはれて
あたたかいおひさまをあびて
きらきらひかるろうかを、またかけまわる
こどもがいるよ。
やさしいとほめてもらった
あのちいさなおんなのこが
こんどは──
あんまりすぐには、なかないといいな。