さくら

『たまねぎたべようね』
わーい!
カレーだ!
さくらはカレーがだいすき。
おうちのお兄ちゃんも
みんなも
みんなみんな
カレーがすきで
たまらない。
にこにこしちゃう。
こっちのおかおも
どのおかおも──
にっこにこ!
だけど、
くすんくすん。
ぐすぐす
うええーん!
カレーには
たまねぎをいれなくちゃ。
まないたのうえに
たまねぎが
あらわれたとき
みんなはしくしく
なきだすの──
なぜなくの?
たまねぎが
たべたくなくて
おそろしいの?
だれひとり
にげられない──
たまねぎをまえに
なきだすことだけは。
みんながなくと
さくらもかなしくなってしまう。
すぐなくさくらが
またないちゃう──
あ!
みて!
ふぶきちゃんが
へいきなおかおでいる!
まないたのうえの
たまねぎに
ふぶきちゃんだけが
たちむかえる。
たまねぎに
つよいこが──
にじゅうにんきょうだいに
たったひとり
いるのかもしれないの!
みんながふぶきちゃんをたよる。
さくらもつられて
ふぶきちゃんに
たまねぎをわたす。
なんだか──
ふぶきちゃんも
にっこにこしているかも
しれないの。
そんなふうに
みえるよね?
みんながわらうと
さくらもなぜか
わらっている。
ちょっとおもしろいと
ころころわらうさくらが
きょうもまた
お兄ちゃんの手をとりにいって
にっこにこ。
あのね!
カレーだよ。
たまねぎだよ。
きょうはだれも──
なかないよ!
お兄ちゃんに
そんなおはなしを
おとどけにいきたいの。