氷柱

『キッチンの出来事』
どうしたの?
キッチンには、小雨ちゃんはいないわよ。
ついでに言うと春風姉様たちも誰もいない。
買い出しに行ってるから。
いるのはただ──
片付けを任された私だけ。
何か用?
おなかがすいても──
今はカップラーメンしか出ないわよ。
いや、私だってちょっとした
小腹を満たす食事くらいは
できないことはないけどね。
でも、また散らかっちゃったら
小雨ちゃんたちが帰って来た時に大変だし──
まったく、のどかな秋が来たっていうんだから
たまにはゆっくりしていいのに。
こういう時にしかできないからって
新しいレシピを探したり手の込んだものを作ったり。
私には──
片付けを任せてもらうしかできないのに。
というわけで、おうちはみんながはりきっているんだから
下僕もちゃんと秋を満喫しないと
がっかりされちゃうかもね!
あるいは──みんなが余計に張り切って
なんとしても過ごしやすい秋を堪能させなければ!
と、盛り上がってしまうかもしれない。
まあ、誘われたときに言い訳できる程度には
勉強の秋でも楽しんでおくといいわ。
私もわからないところを教えてもらいに行こうかしら?
他の子も真似して成績が上がるかもしれないもの。
それで、結局のところ
やっぱり何か食べていくつもり?
……
簡単な、本当に簡単なものなら
すぐにできなくもないけど?
食欲の秋の端っこにも引っかからないくらいのおやつだから
そのつもりで覚悟はしておくことね!