小雨

『また今日も』
お兄ちゃんは知っていますか?
小雨は感動してしまいました──
なんでもできて
おうちのみんながあこがれる
春風お姉ちゃんは、
なんと、
小雨が宿題で困っていた時に
教えるのもとても上手だったということ──
今日も春風お姉ちゃんを休ませてあげたい、
そして早く春風お姉ちゃんみたいに
かわいくてはたらきもので
やさしいお姉ちゃんになりたい──
そんなみんなの思いで
春風お姉ちゃんはもう一日、お休みの日。
お仕事以外は
なんでもしていい日です!
そんなに大事な時間を小雨のために
使ってもらっちゃったけど──
とってもわかりやすくて
のんびりした小雨にも根気強く付き合ってくれて──
春風お姉ちゃんが言うには、
子供の頃から
できないことが多くて
時間をかけた地道な努力で積み重ねる人ほど、
つまづいている人の気持ちがわかって
わからないところを乗り越えるヒントも
教えてあげられるようになるらしい──
春風お姉ちゃんの場合はそうなんだって。
ええっ!?
小雨は驚いて
つい大きな声を出してしまいました。
春風お姉ちゃんにも
できないことがあったなんて──
みんなの真ん中でいつも明るくて、
困った時にはすぐに見つけてくれる春風お姉ちゃん──
感情豊かで
たまにテレビを見ながらぽろっと泣いてしまって
立夏ちゃんと手を取り合っていたりする春風お姉ちゃん。
なんだか、子供の頃からずっと
やさしいお姉ちゃんでいたんじゃないかって思っていたけど、
やっぱり──今日の小雨や
家事のお手伝いが上手くいかない今日のお手伝いさんたちのように、
一歩一歩
長い時間をかけて今みたいになったんだと聞きました。
とても長い時間を──
今でもそんなに──言うほど立派じゃないからって笑っていたけれど。
もしも小雨が大きくなっても、時間をかけて努力を続けても
春風お姉ちゃんみたいになれないと思います。
でも、なれなくても──
小雨はいつか、春風お姉ちゃんみたいなやさしい人に
少しだけでも近づけたらな。
秋の日の小雨は──なんて、みんなの真似をして
改まって言うほどでもないけど、
宿題をたくさん教えてもらいました。
たまに、なんだかとてもいいことがあった日の──小雨でした。