『私たちの』
みんなによく
からかわれて言われていることを知っている──
冗談なのはわかっていて、
誰も本当にそんなことになるなんて
思いもしない──
私と小雨ちゃんを足して割ったら
ちょうどいいってこと!
別に、私だって時々そう思うから
それはかまわないのよ。
もしも麗が、小雨ちゃんみたいに
落ち着いて言葉を選んで
考え深くて──
優しい子だったら。
きっと愛されていたのにね。
そうならなかったから、仕方のないことなんだけど。
ところが、なにもかも
光と影のように、
夏と冬のように。
地を這う獣と翼をもつ鳥のように
ぜんぜん違う二人が、
夏休みにはある時突然
よく似た同士になる。
それはなぜか?
自分たちでも知らなかったんだけど、
地道にコツコツ
宿題を済ませて
夏休みの早いうちに自由を満喫しているところが
性格の違うはずの二人は
よく似た行動らしい──
いや、宿題なんて
放っておいてなくなるものじゃないし
自分の力の他には頼れないし──
別に小雨ちゃんはそんな動機で済ませているわけじゃないと思うけど。
それから面倒な自由研究も
考えるのが大変だとか言いながら
自分でさっさと決めて
てきぱきと進めて
特に助けも求めずに一人で終わらせている──
いや──誰に頼るものでもないし。
宿題なんだから。
でも考えてみたら、ほかの子に協力してもらって
空き箱を集めたりする自由研究だってあるのよね。
宿題は一人で終わらせるものだから
そんな手伝いが必要だとかの発想が出てこないのは
同じのような──?
自分ではしっくりこないけど
そういうことを言う人もいるわね。
だから、今年の夏に小雨ちゃんが
自由研究の一環として春風姉さまたちにお願いして
お菓子のレシピを集めているのは
なんだか回りがびっくりしているような
でもなぜか喜ばれているような
そんな状況らしい。
詳しくは知らないけど。
私の自由研究は、今年も特に誰の助けも必要じゃないわよ。
一人で充分──内容は、別に教えるほどのことでもないでしょう?