小雨

『どこからどこへ』
今日は暑い日になりましたね。
雨が続いて肌寒い毎日に、
立夏ちゃんは悲しんで──
まだ夏を遊び足りないのに
すっかり秋のようだと嘆いていました。
また元気そうな顔を見られてよかったですね。
特に夏のうちにやりたいこともそんなにない小雨でも、
というかやりたいことも
叶わない気がしてあきらめがちな小雨でも、
秋の気配は
少しさみしいのだから──
元気な立夏ちゃんは
どれほどだろう!
小雨には想像もできない気持ちが
渦を巻いて激しいエネルギーを持っていたのでしょうね。
吹雪ちゃんの自由研究のアイデアの一つで、
気温の変化が影響する立夏ちゃんの元気を調べようと言っていたけれど、
もちろん冗談なんだけど──
吹雪ちゃんのかしこさなら、できないことも可能にして
みんなが明るく前向きでいられるような
いろんな予報を──たくさんできるように
してくれるかもしれません。
その日はきっと遠くない!
海晴お姉ちゃんの楽しいお天気予報の次に
吹雪ちゃんによる元気が出る踊りだってきっと
テレビでたくさんの人に届くようになるはず──
それまでは、特別な才能もなく
日々を地道に過ごす小雨は
今日のお天気に感謝しながら
洗濯をして料理のお手伝いをして
日が入るとたまに吹く冷たい風に
みんながびっくりしていないか
心配するばかり──
でも、こんなふうに
なんでもない普通の一日を
どうにか過ごすことができて、
できれば──
もしできるなら、みんなに
また特別なことばかりじゃなくても
ときどき笑ったりできる普通の日が来て、
みんなで一緒にいられたらいいなと思います。
小雨はあまり
夏にも秋にも望むことはないと言ったけれど、
つい願い事の話をしているのは──
自分で気づいていないだけで
だいぶ欲張りなんじゃないだろうか?
吹雪ちゃんの自由研究のように、
小雨も自分を観察して見つめなおさなくては?
なーんて──
実際に吹雪ちゃんがどんな自由研究をしたのかは
まだ聞いていません。
明日──小雨にまたちょっといい日が来たら
もしかするとまたいろんなお話をしているかもしれない──
これから小雨に何が起こるのかわからないけれど、
そんな希望を持つ日もあるみたいです。
それではお兄ちゃん、また明日。
──おやすみなさい。
季節の変わり目もやってくる頃──小雨も、風邪には気を付けて過ごそうと思います。