海晴

『昨日の私と明日の私』
蛍ちゃんも
まだまだ甘いわね!
夏休み、感想文の宿題。
読書の楽しさに目覚めて
活字に触れる喜びに浸る
学者の卵たち。
小雨ちゃんやユキちゃんと
お勧めしあって情報交換しているの。
楽しいよね!
でも、実は夏休みの楽しみは
他にもあって──
ここだけの話、
キミだけに教える
ヒミツなのだけど。
知ってる?
毎年、読書に目覚める子は
ときどき現れて──
よく読み込んだ感想文で
まんまるい大きな花丸をもらったり
表彰状までもらったり、
時には、とても文学の才能があるとは見えなかった
まさかの展開があって
意外な子に
思いがけない才能が花開いたりと
アイス片手に
かわいい家族を眺める夏は──
いつも最高!
しかも、みんなの毎年の様子を
覚えておけば──
読む本に迷っているとか
何を描けばいいのか悩んでいる子が
相談に来た時、
むかし──あなたのお姉ちゃんは
こんな本で賞をもらったんだって
教えてあげられて
感謝までされてしまう。
いいことばっかり。
まあ、恥ずかしがりの子は
昔の話をされると
少しすねたような顔もするけど。
それでいて、年下たちから尊敬の目で見られるのは
まんざらでもないみたいだし。
我が家のアルバムと共にしまってある
秘密の記録や
表彰状の中には──
小雨ちゃんや星花ちゃんが褒められている
毎年の感想文コンクールの評価や、
たまに先生をうならせる
夕凪ちゃんや立夏ちゃんの鋭い文章、
それにこれは──
語り手のひとことひとことに
優しい共感を抱いた
感受性豊かな氷柱ちゃんや麗ちゃんの感想文──
こんなに新たな魅力と才能の発掘こそ
夏休みならではの
すばらしい特別。
みんな、今年もいっぱい本に迷ったり
何を描くか困ったりしてくれたらうれしいな──
んんっ?
この見慣れた字の
忘れかけた文章は、
これはまさか
私が小学生の頃に一度だけ賞を取った時の──
し、しまった!
まだ残っていたなんて!
でも、恥ずかしいのに
まんざらでもない♪
キミも夏休みに何か迷っていたら
遠慮なく相談してみてね。
お姉ちゃんはどんな答えでも
知っているかもしれないんだから──