吹雪

『Never Not』
これは、まとまりのない話であり
答えは見つけられていません──
読書感想文に読む本を探しています。
ただし、その前提はこの話に必要ありません。
世の中にはたくさんの本があり、
それは主観的な分類をしていくと
いくつかの種類に分けられるようです。
最初に考えた分類は
読書感想文に向いている本と
そうでない本。
科学知識の解説や、そこに至るまでの長く曲がりくねった過程。
様々な分野で活躍し、歴史を支えた人間たちの話。
あるいは、世界のだれも知らない謎を詰めた手のひら大の小箱──
それとは別に
忍者や侍が悪者を退治するお話や
意味も判然としない、ただ──
美しさという説明しようのない目的を持っているとしか思えない文字列。
もしかするとこれは、
私ではないだれか他人に
読んでいるところを見られても何も問題のない、
ときどきは感心さえもされるような本と
そうでないもの──
さらにもう一歩進めてみると
たとえば──例えとして口に入れるべきものに
人体に必要な栄養、
娯楽としての甘味や贅沢品、
複雑な影響を及ぼす嗜好品が存在するように
栄養となり学ぶことの多い本、
ただ楽しむこと、娯楽を目的とした本、
喜怒哀楽に分類するには複雑すぎるほど
特別な感情を喚起するような、嗜好品に近いもの──
それは文学などのジャンルで
実在するかどうかもわからない美しい風景を描いたもののように
娯楽の分野とは──人をわくわくさせ、どきどきさせると夕凪姉たちが言う
あの分野とも近いようで違うような──
分類をこのように定義して
すべての本は栄養、娯楽、嗜好品の傾向を
ひとつないし、複数持ち合わせているのではと考えてみます。
本や食事に限ったことではなく、絵画や音楽や
建築や旅行や子育てや──
人間の生活で、多くの場面に適応する可能性はありますが
今は本の話──
そして、あまり関係のない前置きとは言ったけれど
結局、話が戻っていくところは
読書感想文に向いている本とは何かということです。
今日読んだ科学の本は、余りにも娯楽的で刺激的で
知識という栄養にならない枝葉の寄り道でも、この作品を作り出した作者の手に込められた熱情は
私に特別な感情を与える──まるで表現する言葉が存在しないかのような感情です。
この気持ちをそのまま書くことは、小学校の宿題にある
人に読まれるものという前提にそぐわない気がします──
誰かに届けるには──おそらく、恥ずかしいという感情が比較的近いのでしょう。
原稿用紙の規定枚数にまとめる乾燥にちょうどいい本は
私のこの夏には、いったい何があるのでしょうか?