春風

『あーちゃん帰る』
あ!
さっきまで
うれしそうに日なたをはいはいして
温かく過ごしていた
あーちゃんが──
王子様に抱っこされて
すやすや気持ちよさそうにしながら
帰ってきた!
今日はとっても喜んでいたみたいですね。
あーちゃんには、春が近づくまぶしい窓辺が
珍しいのかな?
冬を忘れるような日差し、
ぽかぽかの窓際──
もう少しすると
いよいよ三月です。
だけど、今日は
風が強い時間もあって
部屋の換気もするから──
たまに、冷たい風で
驚いたりしなかったかしら。
そんなときに駆けつけてくれる
お兄ちゃんがいるから
あーちゃんは幸せですね。
安心しきった顔で眠ってる──
この場所以外にはどこにも
こんなに気持ちよく休める場所はない!
もうどこにも行かない!
って、
すっかり眠った顔が言ってる。
寝ていても間違いなく
気持ちが伝わってくる表情だなんて──
それはもう
とってもとっても
大切なことに違いない。
春が近づく
のどかな窓辺より
安心できる場所が見つかる──
いったいどんな気持ちなんだろう?
もう大きくなった春風では
経験できないかもしれないけど、
でも、この顔を見ていたら
わからないこともない気持ちになっていく──
今日は寒い時間もあったけど、
こうして暖かくなり寒くなり
季節は春に近づくのだといいます──
日なたで喜ぶあーちゃんが、どれくらい見られるでしょう?
抱きかかえられて帰って来る幸せなあーちゃんも──
どうか、あーちゃん──
もっと春風に
その時の気持ちを教えてくださいね。