春風

『うたたね』
今日も明日も
わがやのお庭は明るく
暖かく──
どうしてもにぎやかな声は
遊ぶ場所を探して駆け出していく。
その後を心配そうに
お世話焼きのお姉ちゃんたちが追いかけて行って、
小さな子供たちは
だいぶはしゃいで帰って来ると
もうまもなく、
眠そうなまたたきをはじめる。
手のかかる子たちの
有り余る元気で
困らされることも──
外遊びが楽しいこの頃では
少なくなったようです。
今のうちに
学校のお勉強や
繕い物、
それに将来も見据えた
自分磨き──
春風はおうちの中で
みんなを支えるのが
向いているかもしれないけれど、
いつママが首根っこをつかまえて
アイドルにしようとしても
おかしくないもの。
王子様も──
歌って踊れる
アイドルになる心の準備は
できていますか?
いつそんな時がやって来るか
誰にもわからないんだから!
それはともかく
曇りがちでもそう寒くはなく、
晴れたら過ごしやすく──
今だからできることをしておきたい気持ちでいっぱいの
女の子は──
気持ちの良い陽気に少し油断を始めます。
ああ──
もう春が過ぎゆくというのに
眠りは優しく抗いがたく春風を誘う。
せめて──
同じ誘惑に堕ちていく人が隣にいれば
罪悪感も違うのかしら?
そういえば暖かな窓辺には
王子様が落ち着いた顔を見せるいいソファがありますね。
誰かの肩に体を寄せて
ついつい眠りに落ち
時間が過ぎていくことも──
春風は過ごしやすい今のうちに覚えておきたいことのひとつ。
なのです!