観月

『まっしぐら』
見つけたぞ!
ほら──
あそこじゃ!
おやつの時間も
本の時間も惜しんで
探し続けた
特別な場所が
まさに──
日の当たる日なたにあった。
それーっ!
ぽかぽかするぞ!
ぬくぬく。
ふー。
なにしろここ数日は
怪しいものを追いかけて
へとへとでな。
兄じゃも不思議に思わぬか?
働き者の蛍姉じゃと春風姉じゃが
こうもあっさり
暖かな窓辺にとらわれるとは。
それも理由がないことではない──
きれいな花でおびき寄せて
隠れた場所からぶんぶん襲い掛かる蜂のように
気持ちの良い場所に誘い込んで
眠らせた後は
じっくり雲を呼んで日陰を作り
風邪をひかせて
料理する──
そんなわるもののうわさを
兄じゃは聞いたことはないか。
実は──
蛍姉じゃと春風姉じゃを捕らえた
秘密の正体はわからないままだったが
寒さを呼ぶいたずらものたちが
うろうろするので
少し懲らしめておいた。
もう今になると
勢力も衰えてきたようだし、
えいえい! と
わらわが日頃から鍛えた技で追い払えば
何事もなく退治は済む。
修行はしておくものじゃ。
このままおばあのように
力を家族のために使い
お守りを役目とする大人になるか──
おいしいおやつを作る姉じゃたちみたいに
みんなと仲良く過ごすかは
まだ──決めかねるところ。
こんな心地の良い日なたで見る夢が
未来を占うであろうか──
あれっ!?
少し
くもってきたぞ!?
そ、そんな──
もっと毎日晴れているうちに
ぽかぽかするべきであったか──
うわーん!