真璃

『ママの歴史』
人に歴史あり。
アルバムを見るのって楽しいわね!
20人きょうだいを育てる
マリーたちのりっぱなママも、
アルバムの中では
よちよち歩きのちっちゃなかわいい赤ちゃん。
やがて小学校に通って
ぐんぐん背が伸びて──
いつのまにか、可憐な乙女になっている。
アルバムをめくるほどには
あっという間のできごとではないかもしれないけど、
不思議ね!
今は誰もが頼りにして、
みんなの憧れのお仕事を勤めて──
ついには宣伝で動画にも出ることがあったり、
おうちではいっぱい遊んでくれて、
うるさくてわがままでたくましいちびすけたちを相手にも
ひるむことのない──
誰も真似できない
あのママができあがるまで、
みんなと同じように学校に通って
今日もマリーたちがしているように
泣いたり笑ったり
子供らしい日々を過ごしたなんて──
写真で見なければ、きっと信じられないわ。
こんなにいいものを持ってきてくれた
夕凪お姉ちゃまはすごいわね。
まあ、特別なこともあまりなくて、
大人になって
お仕事を見つける時の参考には
ならない気がするけど──
それでも、みんなで大さわぎよ。
ついついアンニュイになりがちな
秋の曇りの日に、
一人の人間を見つめ続けた
一冊のアルバムが、
こんなにも盛り上がる時間をくれるだなんて、
まったく、落ち葉の散るころだからって
退屈なんてしていられないわね。
ママもまた帰ってきた時に一緒に見てくれるって!
あんまりすごくめずらしいとか、
古いからといって
おばけが写っているような写真は──どうやら見つからなかったみたいだけど、
本人が話をしてくれるとなると
どれもこれも──
普通にしているままの姿なのに
気になるのばっかり。
マリーは──ママの年長さんの写真のお話を聞きたいわ。
あどけないお顔のママが
同じ年頃にどんなふうに過ごしていたか、
写真を見ながら聞くのは──
きっとまた、みんなで盛り上がること間違いなしよ!