ヒカル

『結末』
お姫様は困難を経て
めでたしめでたし。
男の子と女の子は
すれ違いを乗り越え
最後はハッピーエンド。
本をオススメされて
たいしたことないと思いながら
読み始めた子の
その後は──
私は見た。
放課後の図書館で
高等部も三年生の
生徒会長。
学校を隅々まで知り尽くした霙姉と、
まだ中等部二年生の
おっかなびっくり
知らない場所ばっかりの広い学園を
たまに少し緊張した面持ちで歩いている氷柱が
話しているのを──
うちの学校の図書室は
なかなかの品揃え。
中等部の頃、夏休み前に
課題図書を探して
あまりの広さに途方に暮れたこともあったっけ──
そういえばそろそろだな。
このじめじめした梅雨が終わると
もう季節は
すっかり間違いのない夏がやって来る。
着るものに気を使わないで
過ごせるのはいいけれど──
また、水着や浴衣の試着に
春風姉と蛍のおもちゃにされてしまうのも
覚悟しておかないと。
やっぱり氷柱は
長い夏の夜を
本でも読みながら過ごすのかな?
オマエは何か予定はある?
なかなか寝付けない蒸し暑い夜に
軽く体を動かそうというのなら
私も相談に乗れるかもしれない──
氷柱たちの話の内容はわからなかったけれど、
私が役に立てることはなさそうだからな。
苦労して探した課題図書は
その後どうなったか──
これも、氷柱に言わせたら
最初から何もかもわかっていた
お見通しの展開なんだろう。
楽しそうに話していた二人の邪魔はしなかった。
図書館では──私みたいなそそっかしいのは
どうなるか、
誰だって予想できるもんな。