氷柱

『思いもよらない意外な展開』
──
──
……
ん……
んんっ!?
……はっ!
夢か。
このごろ雨続きで
小さい子たちは力が余って
家の中で大暴れ。
夜もなかなか寝付けないありさま──
こういうときこそ
うまくおだてて
調子に乗せ
自分から布団に入っていくように
誘導するテクニックが
必要とされるものなんだけど──
なかなかあんまり
優秀な人材っていないものだから
私がいつも駆り出されるというわけなのよね。
なにしろ一緒になって遊んでいる大人もいるという!
しかもたくさん!
はー……
はーあ──
うたたねするのも理解できるというものだわ。
だいたい、絵本の一冊で
はいおしまい!
約束通り眠る時間!
が通じる年頃ならともかく、
この本を読んだら!
きりがいいところまで終わったら!
漫画や児童小説に
夢中になっているのを見つけると
こちらも大変。
先が気になって止まらないと言うけれど
どれもこれも
ただの作り話。
読まなくてもわかるような内容でしょ。
お姫様が出てきたら
あれやこれやの困難の果てに
めでたしめでたし。
男の子と女の子が出てきたら
誤解やすれ違いの紆余曲折を経て
ハッピーエンド。
夕凪から押し付けられた
子供向けの一冊だって
しょせん、その程度の内容でしょ。
まあ──明日には感想を伝える約束をしたから
仕方なく読んであげるけど。
ただでさえ寝不足気味なのに
眠気に耐えられるかまったく心配だわ。
明日にはあの子を傷つけないように
伝える言葉を今のうちから考えておかなくっちゃ。
ま、悩むのはきっとそれだけね。
さて──最初は──なになに?