吹雪

『試練』
氷柱姉が風邪を引きました。
朝からベッドで休んでいる状態です。
昨日から調子は悪かったようですが
そこで判断を誤ったらしく
最近は良い子で風邪の予防に取り組んでいる小さい子たちの代わりに
大人しく早く寝る約束をするなら
お皿洗いをして
寝る前に一杯だけ温かいミルクを用意します。
そんなふうにはりきっていたのです。
この寒さでもこのごろは誰も体調を大きく崩す子もなく
みんなが健康でうれしかったのでしょう。
そう思うのは、私がうれしかったというだけかもしれませんが。
ともかく、この時期の風邪は
甘く見るとだいぶ引きずることもあるため
予防に失敗したのならば
治療に専念するのが良いというのが家族共通の意見です。
氷柱姉は自分のことを
どうやら、うるさくて厳しいと考えているらしくて
自分をみんなは心配しないだろうと
普段から言葉にすることもあり
そのあとですぐ
もちろん、自己管理がしっかりしているから体調を崩さないので見習うように、と
いつも続くのが決まり。
しかし
風邪の予兆を見逃していたのが他の誰でもない氷柱姉とは
油断はやはりいけないことで、
それから、もうひとつかんちがいしていたのは
ユキがみんなをまとめて
お見舞いを持っていく提案をしたとき
賛成する子が多かったことで。
千羽鶴だけだとさみしいから
みんなが得意な
お花の折り紙も折って、
持って行きましょうと。
いつも氷柱お姉ちゃんのおかげで
今日もみんな元気にしています。
ジャマにならないようにお見舞いに持っていけるものはあまりないけれど
早く戻ってきてください。
手紙に書いて
折り紙をたくさんまとめ、
運ぶ予定だったのですが
どうも大荷物になりそうで
時間がかかるように見えたので
先に私が様子を身に氷柱姉のところへ行ってみました。
お見舞いのことは伝えてはいないけれど
確かに熱がある赤い顔を見せてくれました。
軽い風邪で
ぜんぜんたいしたことはないので
まったく心配しなくていい、
看病に誰も来なくてかまわない
すぐに治ってしまうけど念のために休んでいるだけなんだから、と
とても強く主張していました。
なるべくうつしたくないのだと思います。
あるいは
もっと重大な
何者かが看病に来てしまっては困る理由があるような様子でした。
それを近くでちょうど見かけた蛍姉は
心配させたくなくて
意地を張っているのね、との意見です。
うーん
体調が悪いときに意地を張る理由というものが
存在するのでしょうか──
私にはわかりません。
あの──
もし、私が風邪で休んでいたら
静かに休めるという前提の上で
看病をしてもらえるなら
待っています。
氷柱姉はそれが言えない理由があるようです。
蛍姉に聞いても秘密にして教えてくれません。
私にとってはひとつの謎が
氷柱姉の風邪には発生するということになります。
それは何か……?
わからないことは多いですが
お見舞いは、なるべく元気づけることができるように早めに持っていきます。
氷柱姉が早く良くなればと思います。