綿雪

『夜の掟』
とても長く
じっとり深く
暗い夜──
闇におびえながら
寒さに震えながら、
子供は夜を
泣いたりせず
体にも気を付け
良い子で元気に過ごすのが
大切なお仕事。
ユキのおうちは
小さい子も多いから
お姉ちゃんは
下の子たちの面倒もたくさん見なければ──
いけません。
ユキもあんまり
お兄ちゃんと一緒のお布団で
眠りたいとか
手をつないでほしいとか
そればっかりをいつも言わないようにするの。
できているかは
わからないけど──
夜に震える子を
元気づけてあげられるのは
暖かな明かり。
寒い時間には
すぐにわかる
ぽかぽかあったかな気配のするほうへ──
さみしがりたちは
集まっていく。
そして、顔を合わせては
にっこりと
しているの。
なんだか──
ここに来れば
いいことがありそうな予感が
していたんだって。
でも、春になって
暖房はひとつひとつ
片付けてしまって
いるでしょう?
寒そうにしている子が
どこに行けばいいのか
わからなくなったら
たいへん!
そんなときは
ふだんから暖かくしている
ユキのお部屋は
どうでしょうか?
おもちゃもあるし──
キッチンも近いから
ホットミルクの用意もすぐできる。
あんまり
ほこりになると
困るけど──
ユキの妹はいい子ばっかりだもの。
うるさくしないと思います!
お兄ちゃんからも伝えてみてね。
さむいさむい
おそろしい
時刻が来たら──
ユキお姉ちゃんがお部屋にいるかもしれませんよって。
でも、本当に
いつでもユキが間違いなく
いてくれるのでしょうか?
たまにお兄ちゃんが
確かめてみないと
わかりませんね。
心細い夜には
家族を見つけて
暖かいところを探さなければなりません。
風邪をひかない良い子になるために──
お兄ちゃんも、お気に入りの場所を見つけたら
たずねてみてね。
みんな待っていると思います!