綿雪

『お楽しみ』
暗いと不満を言うより
明かりを灯そうというのと同じで
寒がるより
服を着たり
体を動かしたり
温かくなる努力をするものよ!
と、言ったのは
氷柱お姉ちゃん。
それからというもの──
寒がりな小さな子たちの間では
暖を取るため
とびかかって抱き着くお姉ちゃんの
誰にするか?
いちばんあたたかいのは?
という話合いが
昼も夜も続いて
なんと氷柱お姉ちゃんが
とてもすぐれて温かいという結論に
達しようとしている!
たくさんの頭を突き合わせると
答えは思いもよらない
特別なものになることだってある──
小さくたって
あなどれないです!
冷たい風に吹かれて帰ってきたら
暖かくしたくて家族のそばに行くのが
この冬いちばんの
子供たちのお楽しみ。
だけど──
氷柱お姉ちゃんのお隣が
ふさがっていることが多くなったのは
ユキはちょっとさみしい──
ふくざつ──
ところで気付いていましたか?
そう、みんなの間では
お兄ちゃんのお隣もとっても評判。
ぬくぬくだと──
早い者勝ちの
ひっぱりだこなのです。
こんなことなら
サンタさんにずっとお兄ちゃんの隣にいられるよう
プレゼントを頼めばよかったのにって
誰かが言ったの。
ふふ──
残念なことに、もうプレゼントのお願いは締切りです。
来年は忘れないように
覚えておかないといけないの。
お兄ちゃん──
もしも覚えていたら
来年、お隣を空けてくれる?
ユキはちょっとだけ
記憶力にもそこそこ自信があるんです。
あったかくしていることは大事なことで、
大事だったら忘れない。
一年先のクリスマスには
枕元の靴下に素敵なものが入っている──
だからそれまでは
氷柱お姉ちゃんやお兄ちゃんのお隣が空いた時に
あったかく
そばにいさせてね。