麗

『おかえり、そして』
２０２０年１２月５日
日本時間で１４時３０分頃、
はやぶさ２は採取したサンプルを収納した
カプセルを射出。
２０２０年１２月６日、
２時２８分頃、
カプセルは大気圏に突入。
４時４７分頃、
オーストラリアのウーメラ砂漠にカプセルを発見。
７時３２分頃、
カプセル回収完了──
数多くの貴重な成果を残して
はやぶさ２は休む間もなく次の目的地へ旅を始めた。
むかし──
私がまだ小さい頃の
探査機で、
はやぶさと呼ばれる機体が
あったそうよ。
実験機として旅立ち、
数えきれないほどのトラブルを経験し
それでも大事なサンプルを地球に届けて
自分が果たした最後の役目が
地上へ向かっていくのを
見届け安心したかのように──
分解した機体は大気圏で
火に巻かれてひとつひとつ
消えて行った。
他の誰にもできない誇らしい仕事をした
はやぶさからの最後の送信は、
力を使い果たしたように途中で途切れた
故郷の写真。
宇宙に数多くある星の一つ、
ちっぽけな地球の
大きく映し出された姿──
月よりも遠い、幻のようにはるかな場所にある小惑星の物質を
世界で初めて持ち帰ったのがはやぶさで、
はやぶさ２は改良型。
今度は──
ひとつのお仕事を終えてまた飛び立って行きました。
ニュースを見て、お姉ちゃんたちは聞いてくるの。
すごいことみたいだけど
いったいどう役に立つのって
それはたくさん役に立つかもしれない可能性はあるわけで、
でも私だって小学生だし
説明は苦手だし
詳しい人はもっといるし！
ちょっと興味があって調べただけだし
いいんじゃないの、
すごいことで。
ネットでこんなことを言ってる人たちを見かけたわ──
仕事熱心に見えるあの
再び旅に出た姿も本当は
むしろ、ランドセルを家の中に放り投げてまた遊びに出かけた
だけなんじゃないかって。
それで──ランドセルの中には
見なくてもわかる
１００点満点のテストが入っているんだって。
だから何の心配もいらないんだって──
むかし、ずいぶんむかし、先輩が切り開いた道を無邪気に駆けぬけて
その先にあるものを探し、
知ることができるかもしれない。
そういうものも世の中にはあるらしい──
１２月６日。
今日、はやぶさ２号の公式ツイッターにはこんな言葉がありました。
「そして今この瞬間もはやぶさ２の運用は続いています。」
と、いうことなのだそうよ。